「タレントだから何を言ってもいい」。そんなムードはいつから始まったのか。誹謗中傷に炎上、薬物使用のデマまで持ち上がったダレノガレ明美さん。当事者の思いを綴ります。
「メイクも発言も強めに」求められた毒舌キャラ
── 2012年にモデルデビューして、テレビでは“毒舌キャラ”の印象が強いですが…、お会いすると本当に気さくで話しやすく感じました。
ダレノガレさん:思っていたイメージと違うってよく言われます(笑)。デビュー当時は毒舌ブームだったので、必要とされる役割を引き受けていました。バラエティーなどで出演メンバーの顔ぶれにあわせて「今日は、私が毒づく日だ(毒舌トークを求められる)」と暗黙の了解。そんな日は、メイクや髪型を怖めにして、衣装も雰囲気を出していました。
── ネガティブな反応が出てくる予想はつくかもしれませんが、ネットで叩かれたりすると落ちこみませんか?
ダレノガレさん:それなりの覚悟はしていましたが、炎上してびっくりすることはありましたね。もちろん落ちこむことも。
でも、私は夢をかなえるためにも、とにかく売れたかった。そのためには、テレビで求められる役割を果たして視聴者の記憶に残らないと。“いい人”では覚えてもらえません。思っていることの10倍、毒づいてしゃべっていましたね。
── 炎上や誹謗中傷にも耐えられるのは、メンタルの強さによるものでしょうか?
ダレノガレさん:たしかに、まわりを見るとメンタルがやられる人も多かったです。もう「テレビに出たくない」「出られない」って。でも、私は「売れたい」強い気持ちと、高校時代のいじめを乗りこえた経験に助けられたかな。
それに芸能界は広い。私を理解してくれる人もいるし、逃げ場もある。高校のときにくらべたらずっとラクです。気が強そうに見られて初対面では怖がられるんですが、ふだん通りにニコニコして丁寧に接すると、好印象を持ってもらいやすいです。マイナスイメージから入るぶん、得しますね(笑)。
薬物疑惑のデマ「毛髪検査をして潔白」を証明
── 達観していますね。それにしても、テレビを離れてもいろいろ噂をたてられたり、誹謗中傷されるケースが多いような…。薬物疑惑のデマはきつかったのでは?
ダレノガレさん:誹謗中傷は多いですね。嫌なこと書かれているDMは、最悪見なければいいんですが、噂はね…。いろんな方に迷惑がかかります。2020年にある記者さんが、噂だけで薬物疑惑を書いてしまって、これにはけっこう参りました。
すぐに潔白を証明しないと事業や芸能活動に悪影響を与えかねない。尿検査だと数日分しか潔白を証明できないから、毛髪検査をしました。かなりの毛束をジョリジョリ切られました。
しかもコロナの時期だったので、風邪薬やビタミンCも飲んでいて、もし反応したらどうしよう、と気が気ではありませんでした。この結果をふまえて、記事掲載の説明と訂正・謝罪記事の掲載を求める内容証明で警告書を相手に送付しました。きちんと訂正・謝罪記事を載せてもらい、なんとか落ち着きました。
「俺の愛人」「夜遊び」そんなヒマはないのに…
── 毅然とした態度で臨み、一件落着。でも、こんなことが頻繁に起きるとストレスを感じますよね。
ダレノガレさん:そうなんです、ほんとによくあるんです!やっぱりテレビでのイメージが強くて、ターゲットになりやすいのかな。「夜遊びがひどい」「俺の愛人だ」「お金出してやってる」「誰々とつきあってる」系が多いですねー(笑)。
わたし、家が大好きで、しかも、ひとりが大好き。会社経営で忙しくて、夜遊びなんてする時間もない。マネージャーの耳にも夜遊びの噂が入り、直接確認されたときはちょっと落ち込みました。
── 芸能人って大変…。
ダレノガレさん:友だちのお店に来た人が、「俺は、ダレノガレの家賃を払ってやってる!」って豪語していて(笑)。友だちから「こんなん来てるけど?」って、その人の写真も名刺も見せてもらったんですが、「誰!?」ですよ。
「やめてください」って、友だちを通してお願いしましたが、まだ言いまくるから内容証明を送りました。悪質なデマや誹謗中傷には法的措置も考えています。テレビなどプロ同士のネタで済むうちはいいのですが、本当に人を傷つけたり、事業や芸能人生命に悪影響を与える行為は控えてもらいたいです。
PROFILE ダレノガレ明美さん
ブラジル人と日本人のハーフの父と、イタリア人の母を持つ三世。2012年5月にモデルデビュー。テレビ番組では、読売テレビ「ダウンタウンDX」等数々のテレビ番組に出演。イベントやプロデュース業をはじめ、様々な分野で活躍中。2017年に起業し、CAROME. Skin(カロミースキン)を経営。
取材・文/岡本聡子 写真提供/ダレノガレ明美