赤ちゃんを抱っこしたまま満員電車に乗らなければならなくなった、ちゃずさん(@chaz_comic)。彼女が投稿した経験談の漫画が話題になっています。
赤ちゃんと満員電車に乗らなければ!
ある日、電車で仕事先に向かうちゃずさんと息子のちゃちゃまるくん(10か月)。ラッシュアワーを避け、混まない時間の電車を選んだにもかかわらず、電車遅延のためすごい人が。ぎりぎりまで数本電車を見送るも空かず、仕事の現場に向かわねばとやむを得ずふたりは乗車します。満員電車には躊躇なく人が増え、ちゃずさんは抱いたちゃちゃまるくんを腕でガードするのに必死…。
そんなとき、隣に居たお姉さんも二人を混雑から守ってくれていたことに気づきます。目の前に伸びるお姉さんの手を思わず握るちゃちゃまるくんにも優しく対応してくれたお姉さん。駅に着くまで守ってくれて無事に乗りきることができた二人。かっこよく去っていくお姉さんに感謝の思いがあふれたというお話でした。
不安と緊張で乗った満員電車
「電車に赤ちゃんと乗るのはこれが初めてで、一人で乗っていた頃が想像できないくらい緊張して不安でいっぱいでした。子どもが泣いてしまい迷惑をかけるのではないか、そして満員電車に赤ちゃんを連れて乗ることで冷たい視線を浴びるのではないかと心配でした」
ちゃずさんが気になっていたのは日頃からニュースやSNSなどで見ることもあった「満員電車に赤ちゃん連れ問題」。ちゃずさんは初めての子育てで特に慎重になっていたにもかかわらず、こういう場面に直面してしまいました。
「フリーランスの仕事なので、基本的に子連れで仕事に向かい、移動先でシッターさんにお願いして子どもの面倒を見てもらっています。
毎日使う路線ではないからこそ、ラッシュアワーを避けるなど、あらかじめ混雑を避けた電車を利用しようと計画的に動いたのに、遅延による混雑発生という予想外のことが起きました。
子どもの安全を考えて数本電車を見送っているうちに、もうタクシーでも間に合わない時間になってしまって、心配と不安で胸がいっぱいでしたが電車に乗ることにしました」
神経質になっているときほど、周りにいるイヤホンをしている人やスマホを見ている人がなんだか冷たい印象に感じてしまい、車内で恐怖感すら感じてしまったというちゃずさん。そんな2人の前に現れたのが、心強いお姉さんだったそう。
「満員電車で不安だった私には本当にヒーローのように見えました。駅に着くまでガードしてくださり、お姉さんの優しさが身に染みた出来事でした。そのお姉さんもイヤホンをしていたんです。もはや怯えすぎていろいろな先入観に振り回されていましたね。自分が心を開いたら優しい人の存在に気づけました」
ちゃずさんは、電車以外の場面でも女子高生やサラリーマンに助けてもらったことがあったそう。
「世の中は冷たいとか、子育てママにとっては怖くなる記事ばかり目にしていたけど、手を差し伸べてくださる方が実際は多いということも身をもって体験。私は、今回のうれしかった出来事をそのまま発信することにしました」
フォロワーさんたちからは「子育てしていると、人の優しさが身に染みますよね」「ネットだといろいろ厳しいですが、世の中の人ってけっこう優しい方多いですよね」「優しい世界」「こういう人になりたい」といったコメントもある一方、厳しい意見もあったそう。
「子育てを始めたら周りには優しい方もいることを知りましたが、期待しすぎるとがっかりすることもあるかもしれません。でも、いろいろな人がいて、人はたくさんの親切に支えられているということを教わりました。自分が得意な手段である漫画でこの出来事をそのまま発信し、見てくださった方のコメントなども含めて皆さんそれぞれに何か伝わってくれればいいなと思っています」
この春から子どもと電車に乗る機会が増えるなど、新生活が始まる働くママも多いと思いますが、ちゃずさんのほっこりエピソードに気持ちが救われそうですね。
PROFILE ちゃずさん
夫と息子と猫と暮らす。フリーイラストレーター。著書はコミックエッセイ「夫とちょっと離れて島暮らし」(ワニブックス)、加計呂麻島移住中に撮影されたドキュメンタリー映画が同じタイトルで公開。現在は、全国各地で壁画制作やライブペイントをするなど活動の幅を広げている。
取材・文/加藤文惠 画像提供/ちゃず