「切っても伸ばしても、未だに前髪が話題にされるのは、不思議ですね(笑)」と笑うのは、芸能活動10年を迎える三戸なつめさん。2013年にモデルとして活動を開始し、2015年中田ヤスタカ氏プロデュースによる楽曲『前髪切りすぎた』が大きな話題を集めました。今なお注目される前髪についてや、デビュー当時のことなど、お話を聞きました(全3回中の1回)。

 

三戸なつめさん
『前髪切りすぎた』で話題を集めた当時と変わらず、ポップでかわいい三戸さん

本当のところ「切りすぎじゃない(笑)」

── 歌手デビュー曲『前髪切りすぎた』のインパクトから、ずっと前髪について聞かれ続けていると思います。正直、「もう前髪の話は…」となりませんか?

 

三戸さん:前髪のことばかり聞かれて、「ほかに聞くことないの?」と思った時期は、ありますね。

 

「恋愛観は?」とか、30代になっても「30代女子として」みたいな質問をされることもなく…。私には前髪以外に、聞くべき需要がないのか?って(笑)。

 

── 直球で聞いておいてなんですが、やっぱりそういう気持ちになりますよね。

 

三戸さん:前髪を伸ばすと「もう短くしないんですか?」と言われ、久しぶりに短くしてインスタにアップしたら、「もう伸ばさないの?」と(笑)。正直、そうした反応に戸惑うこともありましたけど、今は前髪が注目され続けるのをおもしろいと思っています。

 

切っても、伸ばしても反響があるので、最近は逆に「みんなを振り回して、翻弄してやろう!」って、ワクワク、楽しくなっている感じですね(笑)。

 

SNSでコメントを見ていて「おもしろいなあ」と感じるのは、反応に男女の差があること。短くすると女子から好評で、伸ばすと男性が「いいね」ってなるの不思議です。

 

── そういう傾向、ありますよね(笑)。最近は女優としてのお仕事も多く、作品によって髪型を自由にできないときもあるのでは?

 

三戸さん:そうですね。役づくりで髪型を決めることもありますが、それ以外は、ほぼほぼ気分。

 

歌としては「前髪切りすぎた」ですけど、本当のところは好きで、気に入ってあの長さにしているので、“切りすぎ”じゃないんです!(笑)

 

前髪を伸ばした、しっとり大人の雰囲気の三戸さん

関西でのモデル活動と上京したてのころ

── 2013年に東京で仕事を始める前にも、地元関西でスカウトされ、モデルとして活動していました。当時はどんな雰囲気で、仕事をしていたのでしょう?

 

三戸さん:関西では、ユルいというか、ワイワイ楽しくやっていましたね。私も周りの子たちも、みんな事務所などには所属せず、フリーで読者モデルをやっていて。仕事というよりも、部活やサークルのような雰囲気。編集部の方が、顧問の先生みたいな感じで。

 

── 東京に来てからは、だいぶ環境が変わりました?

 

三戸さん:私自身の意識が、変化しましたね。関西では部活の延長のような感じでしたけど、東京に来てからは事務所に所属したこともあり、同じモデルの活動でも「お仕事」という感覚に変わりました。

三戸なつめさん

── 東京だから、勝手が違ったみたいなことは、ありませんでした?

 

三戸さん:それはあまり…。地元の奈良も、そんなに田舎ってエリアじゃなかったですし、撮影などで自分がやること自体には違いを感じませんでした。

 

でもやっぱり、人や電車は多いと思いましたね。乗ろうとしていた電車に間に合わなくて、「遅刻した!」と思ったけど、すぐに次の電車が来て間に合ったのは助かったし、「やっぱ都会だなあ…」って(笑)。

 

前髪を上げたスタイルもかわいい! 

人見知りのせいで春は苦手な季節

── 人見知りが強いそうですが、地元を離れて、新たな場所で友達をつくるのは、大変だったのでは?

 

三戸さん:それは大変でした!人見知りのせいで、入学とかクラス替えとか、春はもともと苦手な季節。

 

東京では撮影の現場で、それぞれ事務所の人が一緒にいることもあって、一枚隔たりがあるというか…。会話のタイミングが掴めないまま、終わっちゃいます。だから芸能界の友達は、少ないですね。

 

── 元乃木坂46の若月佑美さんなど舞台でご一緒された方々とは、仲良しですよね?

 

三戸さん:若ちゃんたちとは舞台で長くご一緒して、役柄もずっと一緒にいる役というのもあって、通じ合うものもあったし、仲良くなれました。

 

よほど波長が合うと感じるところがないと、自分からはなかなか行けない性格。芸能人同士ですぐ仲良くなれる人たちを見ると、「すごいな」って思っちゃいます。

 

── でもモデルの仕事で撮影の際に、よく「仲良しポーズ」があります。あれって「はじめまして」の状態でも、そういう指示が出ますよね?

 

三戸さん:はい。「仲良しっぽくして」って指示、よくあります。手をつないだり、腕や肩を組んだり…。

 

ただもともと仲良しでも、普段人前でそんなポーズすることって、なかなかないと思うし、あのポーズが「得意!」って子は、いないんじゃないですかね(笑)。

 

── そこはプロってことですね(笑)。そういった面では女優のお仕事でも、撮影初日から深い関係性の演技が求められることもあるかと思います。

 

三戸さん:演技は役のスイッチが入るので、よりスムーズにできます。モデルの仕事は、役というより自分のままの部分があるので、その違いは大きいですね。

 

ただ、撮影の合間などに共演者の方と待機するスペースの前室は、スイッチが切れている状態なので、ちょっと苦手…。でも役に入ってさえしまえば、全然平気なんですけどね(笑)。

 

三戸なつめさん

 

PROFILE   三戸なつめさん

1990年奈良県生まれ。関西でモデルとして活動後、2013年上京しモデル、歌手、女優、絵本作家として活躍。YouTubeチャンネル「なつめと、」ほか、SNSでさまざまな情報を発信。今年芸能活動10周年を迎える。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶 彩