人気絶頂のタイミングでアメリカに渡った野沢直子さん。結婚後は3人の子どもに恵まれますが、慣れない土地での出産、3人3様の子育て。それでも育児書は読まなかったといいます。(全5回中の3回)
保険に未加入で出産
── 現在3人のお子さんがいらっしゃいます。結婚してどのくらいで、お子さんに恵まれましたか?
野沢さん:偶然にも結婚直後に妊娠がわかりました。子どもができたことはとても喜ばしいんですが、問題はアメリカの保険に入っていなかったこと。保険料が高いので、それまではなにかあれば自費で支払っていました。
── 自費で出産する場合、費用はどのくらいかかるものなのでしょうか?
野沢さん:私が住んでいた地域の病院で出産を希望すると、当時で100万円近くかかりました。私はもう少し安く済ませたかったので、30万円ほどで出産できるお産婆さんを頼ることに。そのお産婆さんにお願いした場合、出産する際は病院の施設を使えることになっていて、なにかあったら病院の器具などを借りて処置することができるので、そういった点でも安心できました。
また、私が選んだお産婆さんは、医療器具をいっさい使わないところで、完全なる自然分娩だったんです。初めての出産だったこともあり、私は自然分娩できたことにすごく誇りを持っていたんですよね。
── お産婆さんでの出産はいかがでしたか?
野沢さん:実は、出産が長引くタイプだったのか、1人目、2人目もお産婆さんにお世話になりましたが、ともに時間がかかって大変でした。2人目の出産の際に、お産婆さんから「あなたは出産が大変だったから、もうひと晩泊まっていいわよ」といってくれたんです。それがすごくありがたかったです。日本は出産後に1週間入院しますが、アメリカでは、出産後は翌日すぐに自宅に戻るので。
── 3人目の出産は大丈夫でしたか?
野沢さん:3人目は、水中での自然分娩を予定していたのですが、時間をかけてもなかなか出産に至らなくて。いよいよ体力も限界だということで、結局、救急病院に運ばれました。搬送先の病院では、母子ともに体力が低下していて危険だから無痛分娩で出産することになりました。
そこで初めて麻酔を使っての出産になりましたが、麻酔をしたら陣痛の痛みがスーッと楽になって。その後ほとんど痛みを感じることなく出産することができました。
── 産後の回復も早そうですね。
野沢さん:自然分娩で出産した1人目、2人目のときと比べて、3人目は圧倒的に楽でした。これまでは自然分娩したことをすごく誇りに思っていたけど、母子ともに体力的なことなどを考えれば、無痛分娩も選択肢に入れてもいいかな、と個人的には思います。
── ちなみに、子育てを手伝ってくれる方などはいましたか?
野沢さん:私の母が亡くなっていたこともあり、手伝ってくれる人が誰もいなくて。夫のボブが3週間、仕事を休んでくれたので、とにかく2人で必死になって乗り超えました。
育児書はあえて読まない
── 育児方針などはありましたか?
野沢さん:「育児書は読まない」と決めていました。きっかけは、さきほどお話ししたお産婆さんから「育児書に頼りすぎないで」といわれたことがきっかけです。育児は、育児書通りには進まないし、育児書を参考にしすぎて「うちの子はまだこれができない」と思って心配になることもありますよね。
「大事なことは、毎日子どもの世話をしているあなたが子どもを見て大丈夫かどうかを決めればいい。あなたがいちばんよくわかってあげられている。だから自分を信じなさい」。と話してくれたんです。目からうろこでした。この言葉は、私の子育ての指針になっています。
PROFILE 野沢直子さん
東京都出身。超人気コント番組『夢で逢えたら』などに出演。人気絶頂期に渡米を決意。アメリカ人の彼と国際結婚し現在アメリカ在住。真珠野沢オークレアー。『老いてきたけど、まぁ~いっか。』(ダイヤモンド社/野沢直子)。
取材・文/間野由利子