「よく外で遊び回っていましたね」そう子ども時代を振り返るのは、女優の江口のりこさん。放送中の主演ドラマ『ソロ活女子のススメ3』(テレビ東京系 毎週水曜日深夜1時より放送)をはじめ、映画や舞台など数多くの作品で活躍しています。小さい頃のことや仕事のスタンス、多忙ななかでの気分転換など、お話を聞きました。(全2回中の2回)

 

江口のりこさん
モードな表情にカッコイイ大人の女性の空気が漂う江口さん

光GENJI世代で通学前にローラースケート

── 小さい頃の江口さんは、どんなお子さんでしたか?

 

江口さん:近所のお兄ちゃんやお姉ちゃんと、一緒にドッジボールしたりとか、田んぼに秘密基地を作ったり、探検しに行ったり。とにかく外で、大人数で遊ぶのがすごく好きでしたね。

 

── わりと近所に、田んぼがあったんですね。

 

江口さん:田んぼだらけです(笑)。けっこう、田舎なので。

 

── 今頃の季節で田んぼだと、カエルや虫を捕まえるとか…。触るのは、平気なほうでした?

 

江口さん:平気でした。カエルも虫も、捕まえていましたよ。

 

── 田んぼ以外に、ドッジボールができるような公園や広場も、近所にあったのですか?

 

江口さん:そういうのはなくて、普通に家の前の道路で遊んでいました。光GENJI世代なので、学校へ行く前、朝早くからローラースケートで滑るとかもしていましたね。

 

江口のりこさん

許せないことを最小限に抑えられるように

── 中学を卒業後に働き始めて、1999年19歳で劇団東京乾電池に入り、20年以上のキャリアです。年齢を重ねるなかで、ご自身の変化を感じる面はありますか?

 

江口さん:前は許せなかったことも、ちょっと許せるようになったかもしれないですね。いい意味でのあきらめというのか、そういうのは出てきた感じはします。いろんな環境で、いろんな人と一緒に仕事をしていて、「このポジションの人がこうしてくれたら、みんながもっと仕事しやすくなるのに」というのがあると、前は「もう許せない!」って思っていたんです。

 

今も許せないことは、許せないんですよ(笑)。でも今は、「まあ、しょうがない」って。

 

── 怒りを小さく、できるようになった?

 

江口さん:小さくは、ならないですねえ(笑)。ツッコめばツッコむほど、怒りが増えてくるじゃないですか。だから自分で最小限に抑えておく…って、方法ですかね。

 

── 女優としては、年齢を重ねないとできない役もあると思います。

 

江口さん:母親役とかですかね。そんなに多くはないし、たまにですけど、お母さん役をするのは楽しいですね。自分の年齢に合った役ができる仕事で、定年がないですからね。本当におばあちゃんになったら、おばあちゃんの役ができるし、それは楽しいところだと思っています。

 

江口のりこさん

良かったのならチームのおかげ

── 幅広いキャラクターを演じていますが、最近ははっきりものを言うようなタイプが多い印象です。ただ少し前、『ブラッシュアップライフ』のスケジューラー・堀口聡子役は、「こういう江口さんの演技、久しぶりだな」と思いました。

 

江口さん:“役どころ”というものに関しては、私はあまり意識していないんですよね。「この役だからやる」とかじゃなく、人とのつながりのほうが大事だったりするんです。

 

『ブラッシュアップライフ』でいえば、プロデューサーの方とずっと昔から仕事をしていて、「ちょっとでもいいから、参加してほしい」と声をかけてもらったので、「じゃあ行きますよ」と。だから役は、なんでもよかったんですよね。逆に「役で仕事を選ぶ」っていうことは、ないかもしれないですね。

 

── かなり個性的な役。たとえば『海月姫』のインド人・ニーシャ役は、原作とはタイプが違うけれど、江口さんが演じられての説得力や納得感が大きかった印象です。

 

江口さん:結局あれは、インド人の役ですけど、インド人じゃないですからね。関西弁を喋るインド人なんて、こんな人いないよ…って(笑)、どこかで思いながらやっていましたけど、それはフィクションだから。

 

でも観る人に、いいと思って観てもらえたんだとしたら、それはやっぱりドラマをつくっている「チームの人たち」のおかげだと思いますね。

 

江口のりこさん

セリフを覚えているときの気分転換

── 忙しいなかで、日常的なリフレッシュ方法や無心になれることはありますか?

 

江口さん:ストレスみたいなものは、人に話すとラクになりますよね。友達と食事をしてお喋りをすると、心がちょっと軽くなります。

 

── ウォーキングをしているそうですが、歩きながら考えごとをしますか?それとも景色を楽しんで、リラックスをするほうですか?

 

江口さん:なにか特別「これを考えよう」みたいなことは、ないですね。ウォーキングというほど立派なものではなくて、単に遠くのお店へ買い物に行って、歩いて帰るくらいのものですけど。撮影を続けていると、体を動かしたくなるんですよ。だからといってジムとかには、行きたくないですし…運動代わりに歩いています。

 

── 自炊をよくされるとのこと。忙しいなかで、日々の生活を大切にしている面もあるのでしょうか?

 

江口さん:ずっと仕事をしていると、家でセリフを入れる作業ばっかりしているわけです。それで「なにか気分転換したいな」ってときに、料理がちょうどいいんですよ。昨日は休みだったので、ロールキャベツを作りました。

 

── 手間のかかる料理ですよね。けっこう作りおきなどもしますか?それとも一食分を?

 

江口さん:作りおきというか…何日か食べられる分はつくりましたね。

 

── 同じメニューが続いても、平気なほうですか?

 

江口さん:全然、平気ですねぇ。何日でも、同じもの食べられます(笑)。

 

江口のりこさん

 

PROFILE   江口のりこさん

1980年兵庫県出身。1999年に劇団東京乾電池の研究生となり、2000年に入団。女優として映画やドラマ、舞台など幅広く活躍。4月より『ソロ活女子のススメ3』に主人公・五月女恵役で出演中。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶 彩