出版社に勤める主人公・五月女恵が、積極的にひとりの時間を楽しむ「ソロ活」が共感を集め、人気シリーズとなったドラマ『ソロ活女子のススメ』(テレビ東京系)。4月5日にはシーズン3となる『ソロ活女子のススメ3』(毎週水曜日深夜1時より放送)がスタートし、話題となっています。
主演の江口のりこさんに、恵のキャラクターや撮影の様子など、お話を聞きました。(全2回中の1回)
偉いと思う五月女恵「ソロ活のきっかけ」
── 2021年4月に始まった『ソロ活女子のススメ』が好評で、昨年4月にシーズン2、そして早くもシーズン3となりました。主人公である恵の周囲の目にとらわれないスタンスと、トーク番組などでの江口さんの自然体な印象が、ぴったりだと感じている人も多いと思います。
江口さん:自然体と思われているというのは…正直よくわからないんですよね。
でも『ソロ活女子のススメ』は、実在するお店で撮影をするので、普通のドラマと比べてたくさん時間があるなかで撮影するわけじゃないんです。
だから現場に着いたら、すぐカメラを回し始める感じで。私自身がその場に立ち、実際にワーッと感動しているのをそのまま、すぐ撮ってもらっています。
芝居は一応しているけれど、芝居じゃない部分もある。本当に美味しかったり、「すごいな」と思っていたりするのを撮影してくれているので、そういう新鮮な反応がドラマになっているのはいいですね。
── 江口さんご自身から見て、恵のキャラクターで「こういうところ、いいな」と感じるポイントは?
江口さん:恵には、社会に出てから人づきあいが上手くいかなくなって、閉じこもっていた時期がありました。
それを自分から「どうにかしよう」と思い、あちこちにひとりで行って、楽しむことをしているという、ソロ活を始めた“きっかけ”があるんです。
その「どうにかしよう」として動いているところは、偉いなと思います。
普段は行かない場所へ行ける楽しさ
── シリーズ作品として続くなか、現場で楽しみに感じている部分はありますか?
江口さん:やっぱり、普段は行かないような場所に行けますし、なかなか自分ではやれないようなことができるところですね。この現場はいつも、それが楽しみです。
── ロケ撮影の様子をお聞きしましたが、スタッフはかなり少人数で、同じメンバーだそうですね。
江口さん:同じ技術スタッフのおじさん6人。“一緒につくっている、一緒に頑張っている”感じがあるので、「またあのおじさんたちと、一緒にものがつくれる!」というのも、この作品の楽しみです。
本当にそれぞれが自分の仕事に集中して、時間が限られるなかで的確に、パパッと撮ってくれる。シリーズを重ねるごとに「頼もしいな」って思いは、すごく大きくなっています。
── これまでの撮影で体験し、その後「個人的にも、やってみた」ソロ活はあるのでしょうか?
江口さん:「これはまた、やってみたいな」と思うことはあるんですけど…。結局、思うだけで、やっていません(笑)。
でもシーズン2で行った、大阪のお好み焼き屋さんがすごく美味しかったので、また行けたらいいな…って思いはありますね。
なぜか周囲からの反響がない!?
── 友達や現場の共演者の方から、反響の多かったソロ活は?
江口さん:それがないんですよ(笑)。誰もなにも言って来ないし、「あれどうだった?」みたいなのも、全然なくて…。
── それはちょっと寂しいですね(笑)。
江口さん:そうですね。ただ現場は、本当にそれどころではない感じで。
全体的に時間がないなかで撮影していて、編集部のシーンも1日とか2日で撮らなきゃいけない分量が多いし、みんなセリフも多いから、あまりお話しする暇もないんです。
「このソロ活、どうだった?」って話にならないのは、そのせいかもしれないですね。
及川博則監督とした意外な会話
── 恵の同僚・石岡洋平役の渋谷謙人さんが、「春を目前にすると『ソロ活』の季節だ!と思うのは僕だけでしょうか」とコメントしています。江口さんにも、「毎年、この季節には…」といった感覚はありますか?
江口さん:実は今回のシーズン3は「やる」と決まってから、撮影までそんなに時間がなくて。前もって、「今年も『ソロ活』があるな…」みたいに思う感じじゃなかったんです。
監督が脚本も書いているので、この短期間で準備するのは、すごく大変だろうなと思いました。
── テレビ東京の深夜ドラマでソロ活というと、『孤独のグルメ』がSeason10、スペシャルを加えると20作以上続いています。『ソロ活女子のススメ』も、そんな長期シリーズを期待するファンが多いと思います。
江口さん:この間、監督と「ひとつのドラマが、長く続いていることありますね」という話になったんですが、「そんなにやってもなぁ…。まず、どっちかが死ぬんじゃない?」って言われて。
── 今回は準備が大変だったせいなのか、そんな話に…。
江口さん:そうなんですよ。「俺らの場合は、どっちかが先に死んじゃうよ」って、言っていました。私も「そうだな…」と。
だから、そんなに長くやる気は、ないんじゃないですかね。
── 恵の上司・黒田彩子役の小林きな子さんが「もはやソロ活は無限にあるのでは!!」とコメントされていますし、ファンとしては無限に恵のソロ活が観たいです!
江口さん:まだ、シーズン3を撮影中で、まずは「無事に撮り終わるといいなあ」って。今はそのことだけ、考えていようと思っています(笑)。
PROFILE 江口のりこさん
1980年兵庫県出身。1999年に劇団東京乾電池の研究生となり、2000年に入団。女優として映画やドラマ、舞台など幅広く活躍。4月より『ソロ活女子のススメ3』に主人公・五月女恵役で出演中。
取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩