自分が好きになった人が23歳年下だったら──。モノマネ芸人みはるさんが48歳、Mr.シャチホコさんが25歳のときに結婚したふたり。まだまだ芸人としては無名だったうえに、23歳の年齢差…そのとき両親の反応は。(全3回のうち1回)

「大先輩と後輩から…」モノマネで結ばれたふたり

── 旦那さんとの出会いについて教えてください。

 

みはるさん:初めて会ったのは、『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦』(2016年4月)です。私がMVPを初めていただいた年で、新人コーナーに出演したのが、旦那となったMr.シャチホコでした。

 

その後、お笑いタレント・コロッケさんの「CROKET MIMIC TOKYO」というショーパブが麻布十番にオープンすると、旦那さんと再会。私が中島みゆきさんのモノマネで、シャチホコがMr.Childrenさんのマネをしていたら、コロッケさんから「2人で一緒にステージに立って中島みゆきさんの曲を歌ったらどうか」という話になったんです。その後、一緒に練習をしているうちに自然と仲良くなっていきました。

 

みはるとMr.シャチホコ
夫であるMr.シャチホコの、お誕生日を祝うみはる

── はじめは先輩、後輩の間柄だったのですね。

 

みはるさん:最初は、彼に対して仲のいい後輩のひとりという感じで見ていました。

 

私は普段から後輩たちを自宅に招いてご飯を食べさせる機会があったのですが、彼もほかの後輩たちと一緒にご飯を食べに来るようになりました。私は、Mr.Childrenのファンだったこともあり、最初にシャチホコのモノマネを見たときから「うまいなあ!いいな」と、ちょっと思っていたのは否めないです(笑)。それもありなんとなく異性としても彼のことが気になっていきましたね。 

結婚を意識したことでお互いの覚悟が決まっていった

── お互いの年齢について、最初から知っていたのでしょうか?

 

みはるさん:最初はお互い知らなかったです。私は、彼が昭和の歌謡曲が好きだったし、外見が落ち着いていたことから、30代半ばくらいだろうと思っていました。彼は彼で、私のことを40ぐらいかなと。実際は、彼が23歳、私が46歳。ちょっとだけ誤差があったんです(笑)。

 

── 実際、どのタイミングで知ったのでしょうか?

 

みはるさん:出会いから半年ほどたった2016年の冬。一緒にいる時間が増えて、つき合おうかという話になったんです。そのタイミングで「私、昭和45年生まれなんだけど…」と言ったら、彼が「知ってる、知ってる」と(笑)。彼は私が伝えるよりも、先に私のことをネットで、私の年齢について知っていたそうです。私は彼が23歳だと聞いてびっくり!

 

── みはるさんは、今まで年の離れた人とおつき合いされたことはあったのでしょうか?

 

みはるさん:23歳差は彼が初めてです。さすがに「大丈夫かな…」と思いました。彼は、10歳以上年齢が離れているお姉さんがいたからか、年上の女性に慣れていたのでしょうか。

 

── その後、同棲することになったそうですね。

 

みはるさん:2017年、シャチホコはモノマネの仕事をしていましたが、いったんネタ作りに専念するために現場の仕事をセーブすることになったんです。その間、彼の収入が減少するだろうと思って、私の家で同棲することになりました。

 

── 2人で住めば、生活費は安くなりますね。

 

みはるさん:ただ、彼としては「彼女の家に住まわせてもらっている」「男として彼女をしっかりと支えたい」という気持ちがあり、「しっかり稼がないと」と思っていたようです。ネタ作りをしつつ、コンビニや警備員など、複数のバイトをかけ持ちもしていて。

 

── しかし、そうなるとネタ作りの時間が減りますよね。

 

みはるさん:それは彼も感じたみたいです。「バイトを辞めて1年間だけ、モノマネに集中させてほしい。1年かけても売れなかったらモノマネをやめ、就職してみはるさんを支えるから、僕と結婚してほしい」と言われました。

 

彼の話を聞いて、私も覚悟したんです。「あなたが売れなかったら、私も芸人のお仕事を辞める」と伝えました。もし、彼がお笑いの仕事を辞めることになったとして私だけ、お笑いの仕事を続けていたら、彼が苦しむのではと思ったんです。それなら結婚して、夫婦2人で別の仕事を見つけていくほうがいいかと。

 

── お互いの覚悟が決まっていったのですね。

 

みはるさん:彼は、「みはるさんにお笑いを辞めさせるわけにはいかない」と、今まで以上に、ネタ作りに必死に励むようになったと思います。オーディションも徐々に受かるようになっていきました。

初めて旦那の両親に会って涙が…

みはる

── Mr.シャチホコさんのご両親にはどのように結婚のお話をされたのでしょうか?

 

みはるさん:両家の挨拶など、具体的な話になる前。彼は、事前に実家のご両親に「みはるさんと真剣につき合っている」と話をしていたそうです。

 

しかし、2017年当時の彼はバイトで生活をしている状態。ご両親から「自分のことをなにもできないくせに結婚するなんて、みはるさんの人生を背負う覚悟はあるのか」と喝をいれられたとか。それもあって「1年間本気でお笑いに取り組みたい」と覚悟を決めたとのことでした。

 

── みはるさんのご両親の反応は?

 

みはるさん:私の両親はとても喜んでくれました。両親は関東に住んでいるので、一度、彼と私の4人で食事をしました。2017年の年末、彼がTwitterで婚約宣言をしてくれ、2018年から結婚の準備を始めました。ちょうどその頃、彼は、和田アキ子さんのモノマネでオーディションに受かり始め徐々に仕事が増え、春ぐらいからかなり忙しくなってきました。婚約中、彼のご両親には電話でご挨拶させていただいていたものの、タイミングが合わず会えないままでした。

 

── ご結婚されたのは2018年ですよね。

 

みはるさん:シャチホコに、日本テレビ『ウチのガヤがすみません!』の密着取材がつき、サプライズで彼がプロポーズしてくれ、入籍の様子をテレビで放送してくれました。ご両親には、改めて会えないまま入籍することをお許しいただきました。彼の実家にご挨拶にいくため新幹線のチケットまで取ったものの、結局、彼に急な仕事が入り行けないままに。

 

── 実際にMr.シャチホコさんのご両親とお会いしたのはどのタイミングですか?

 

みはるさん:2019年、テレビ番組『人生が変わる1分間の深イイ話』がシャチホコに密着取材をすることになったときです。私と彼は入籍したものの、まだ彼のご両親にご挨拶できていないまま。それで2人のスケジュールを合わせて愛知に住む彼のもとを訪れ、改めて結婚のご報告をする様子をカメラにおさめられないかということになったのです。

 

── いざ、ご両親と会われてみて、お相手の反応はいかがでしたか?

 

みはるさん:お義父さんはとても陽気な方でした。カメラに向かって「どんどん撮ってくれていいから」と、顔出しまでして歓迎してくれたり。お義母さんはシャイな方なのでモザイクを入れていましたが、とても暖かく出迎えてくれました。

 

── 挨拶して、今後の話になっていかれたのでしょうか。旦那さんのご両親は、おふたりの年齢差についてなにか言われましたか?

 

みはるさん:年齢については、なにも言われませんでした。ただ、私自身が彼のご両親に対して、23歳という年齢差に申し訳ない気持ちになりました。

 

彼の年齢だったら同じくらいの年の人と結婚すれば、子どもができて、孫を抱かせてあげることもできたでしょう。でも、私は当時48歳でしたし、お義父さんとお義母さんに孫の顔を見せてあげることも難しい。

 

でも、ここでも覚悟を決めました。ご両親に、「子どもは持てないかもしれないけど、芸人としての彼を支えられるのは自分しかいないと思っています」と伝えました。お義母さんは涙を流しながら、私のことを受け止めてくれました。

 

年の差が23歳離れていると聞くと「話し合うの?」「価値観は合うの?」と聞かれますが、今は結婚してとても幸せです。年の差を感じることもなく、仲良く過ごせて、毎日が楽しいですね。

 

PROFILE みはるさん

茨城県出身。『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』でMVPを取るなど、多彩なものまねタレントとして活動。レパートリーは、山田邦子、光浦靖子など40名以上。

 

取材・文/間野由利子 撮影/長谷川裕之