煮物など、和食に使う調味料としておなじみのみりん。日の出みりんを発売するキング醸造がみりんで作る「喫茶店風ホットケーキ」や「キャラメル」などのスイーツレシピを公式ホームページなどで提案したところ、SNSを通して広がり話題となっています。なぜスイーツにみりんを使うレシピを発信するに至ったのか、担当者に伺いました。

「喫茶店風ホットケーキ」のレシピが大反響

── 最近、「喫茶店風ホットケーキ」がTwitterなどで拡散されて「本当に喫茶店の味になった」と話題となりました。作り方も簡単ですね。

 

担当者A:そうなんです!わが社のホームページのレシピを見つけて「喫茶店風ホットケーキ」をご紹介くださった方がいて、1万リツイート、7万いいねがつき、弊社にも多くの方から反響をいただきました。

 

作り方は、耐熱容器にバター大さじ1を入れ、電子レンジ600Wで20秒加熱して溶かします。別のボウルに卵1個、牛乳80ml、本みりん大さじ1、溶かしたバターを入れ、混ぜ合わせます。そこに、ホットケーキミックス100gを加え混ぜて生地を作ったら、中火で熱したフライパンに入れて弱火で3分、気泡がプツプツと出てきたら裏返して2分焼いたら完成です。

 

担当者B:みりんが液体なので、通常より少し牛乳を少なめにしているのがポイントです。生地に糖分が多く強火にするとこげやすいので、弱火〜弱中火がおすすめですよ。

 

──「喫茶店風」とはどういうことですか?

 

担当者A:きちんとした定義があるわけではありませんが、お店で食べるホットケーキは家で作るものと違い、味が複雑な気がします。みりんを使うことでコクを簡単に出すことができ、深みのある味に仕上がります。

 

──「みりんキャラメル」のレシピも人気と伺いました。

 

担当者A:キャラメルに関しては昔からレシピ提案していたのですが、他社様が、バラエティ番組『家事ヤロウ!!!』で紹介してくださったのをきっかけに一気に認知度が上がりました。

 

担当者B:初心者でも簡単にできるのでおすすめです。フライパンで本みりん200mlと生クリーム(動物性)200mlを混ぜながら中火で煮詰めます。黄色くなりとろみが出たら、鍋底にヘラのあとが見えてくるくらいまで煮詰め、クッキングシートを敷いたパウンド型に流し入れ、冷蔵室で冷やし固めます。固まったら20等分に切り分けて完成です。

 

キャラメルは煮詰めの最後に急に熱が通るので、いい色だと思ったらすぐに火を止めるのがコツです。あとは予熱だけで仕上がります。

社内では実はスタンダードだった!

──和食に使うイメージが強いみりんですが、「ホットケーキ」や「キャラメル」をはじめ、御社のホームページにはたくさんのスイーツレシピが載っています。スイーツとみりんの組み合わせは珍しいと思うのですが…?

 

担当者A:みりんといえば、「お料理の煮物や照り焼きに使う調味料」と思われている方がまだまだ多いということですよね。

 

意外に思われるかもしれませんが、実は、みりんをスイーツに使う発想は、社内ではスタンダードでした。私自身も祖父母が和洋菓子店をやっており、そこではカステラやどらやきを作るのにみりんを使っていたので、今回のホットケーキやキャラメルにみりんを使うことは普通に感じていました。

 

弊社は120年以上続く、みりんの専門メーカーです。そのためみりんの使い方については日々、いろいろな可能性を探っています。そのような考えのもと、「みりんの楽しみ方のひとつ」という形で、スイーツのレシピもお料理のレシピ同様、数多く提案させていただいています。

 

なので、みりんをスイーツに使うことに対して、多くの方から反響があり、逆にびっくりしたというのが本音です…。

 

── 感覚としては「砂糖の代わりにみりんを使う」というイメージでしょうか?

 

担当者A:そうですね。もちろん代わりにしてもいいですし、砂糖と併用してもいいと思います。みりんにはブドウ糖の甘味があるため、砂糖の甘みとは甘さの種類が異なります。

 

みりんは液体なので他の材料と混ざりやすく、甘みも伝わりやすいです。まろやかで味に奥行きが出るのが特徴だと思います。

カレーやピザとも相性がいい!

──「常にみりんの使い方の可能性を探っている」というお話でしたが、他にも意外な使い方などあれば教えてください。

 

担当者B:みりんには一般的な「本みりん」のほかに、「みりん風調味料」もあり、みりん風調味料を使うことで、より使い方に幅が広がります。

 

みりん風調味料は、本みりんとはアルコール分が異なります。本みりんのアルコール分は一般的に13度ほどありますが、みりん風調味料はアルコール分が1度未満。

 

小さなお子さまがいるご家庭でも安心してお使いいただけますし、加熱しない料理にも使えます。加熱が必要ない分、調理の時短にもなりますね。ドレッシングやシロップに使うなど、料理の幅が広がるので、使い勝手が良く、料理初心者にもおすすめなんですよ。

 

それを踏まえたうえで意外な使い方の例を挙げると、カレーにみりんを入れると、味に深みが出ておすすめです。よくカレーにハチミツを入れると思うのですが、同じ感覚で、代わりにみりんを入れてみてください。液体なので水っぽくならないよう注意してくださいね。

 

担当者A:私はみりん風調味料をピザにかけるのが好きです。メープルシロップの代わりにみりんをチーズ系のピザにかけるとデザート風になって、味変を楽しむことができます。

 

── 私たちが知らない、いろいろな使い方があるんですね。

 

担当者B:お客様からみりんや料理酒の使い方を募集して、コンテストも行っています。地方ならではの使い方などもあっておもしろいですね。今後もユニークなレシピを発信していく予定なので、楽しみにしていてください。


取材・文/酒井明子 写真提供/キング醸造株式会社