「殴りたいなら殴れ!」生まれて初めて反発して

── お父様と和解されたのに、何かきっかけはあったのでしょうか?

 

高橋さん:苦手だった父と和解したのは、子どもが生まれて母親になって数年後。35歳のときでした。

 

高橋洋子さん
生後3か月の娘を抱き、母親としてはつらつとした表情の高橋さん

ある日、実家に帰るときに、「今日は絶対に最後までちゃんと話をしよう」と決意を固めたんです。なぜそう思ったのか、いまだにわからないのですが、自分も親になり、「いつまでもこんな関係を続けていられないぞ」と。

 

実家に戻ったら、いつも通り、昼間からお酒を飲む父の姿がありました。恐る恐る話を切り出したら、案の定、烈火のごとく怒り出しました。でも、「ここでひるんでなるものか」と自分を奮い立たせ、生まれて初めて強気で反発したんですね。そしたら、父が大きなゴミ箱を手に私に殴りかかってきたんです。

 

── まさに修羅場ですね…。

 

高橋さん:いつもならその時点で私が逃げて終わるのですが、そのときは違いました。とっさに自分からそのゴミ箱に頭を突っ込んで、「殴りたいなら殴れ!」と言ったんです。そうしたら父は「バカだな、移動するだけだよ」と言って。本当は殴るつもりだったと思うんですが、私が頭を出したので言い訳をしたんです。

 

そのとき、思わず私の口から出たのが、「私は…ただ褒められたかっただけだ!」という言葉でした。同時に、涙がダーッと溢れて止まらなかった。

 

そしたら、父が私をグッと抱きしめて、こういったんです。「俺は昔の人間だから、2度は言わないぞ。ようこ、お前はよく頑張ってる!」。そこからは、2人で大泣きしました。