子どもとの避難の際に備えたいもの
── 東日本大震災の被災でも、都心部などは避難所を経験していない人が多く、「そういう事態になったら」を心配する人も少なくないと思います。
狩野さん:私たちが目にするのは「総理大臣が石巻を訪問しました」などで映る、ほんの一部です。それだけでも、「こんなにプライバシーのない場所で、多くのみなさんが暮らしていらっしゃるんだ」と感じます。
もし子どもが1〜2歳くらいで、よく夜泣きをするようなときだとしたら、どれほどお母さんたちは神経をすり減らすだろう…と想像すると、なかなか平常心ではいられません。
── 非常持ち出しの荷物も、お子さんが小さいと必要なものが多いですよね。どんなに準備しても安心できない方が多いかと思います。
狩野さん:わが家も子どもが小さいころは、おむつのサイズが変わるごとに、大量に入れ替えるなどが大変でした。おむつを卒業して、それだけでもかなりラクになりましたね。
── お子さんを連れて避難するとき、どういったものがあると良いのでしょう?
狩野さん:なるべく子どもが慣れ親しんでいるものを、持っていけたらと考えています。
災害時はピリピリした雰囲気になり、空気を察して子どもも神経質になります。今は他人との距離が近いことが少なく、避難所など多くの人が集まる状況は大人でも、かなりストレスが溜まるし、緊張もするはずです。
普段から使っている毛布や絵本など、何か気持ちをやわらげるもの。パニックに陥ったときに「大丈夫、大丈夫。これがあるよ」と渡してあげられる、日常生活を思い出せるものがあれば、少しは安心できると思います。
多少重くても、場合によっては「食べ物は二の次」というくらい、子どもの気持ちを落ち着かせるためのものを持ち出すことが大事。そう思っています。
PROFILE 狩野恵里さん
1986年生まれ、東京都出身。2009年アナウンサーとしてテレビ東京に入社。『よじごじDays』『家、ついて行ってイイですか?』ほかに出演中。2016年レーサーの山本尚貴選手と結婚し、5歳の双子女児の母でもある。
取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩