「適応力」が私の持ち味

── 大学では、ボランティア活動にも積極的に参加されていたそうですね。

 

水野さん:カトリック系の学校なので、ボランティア精神に溢れていて、奉仕活動が盛んでした。バザーでは、売り子を務めたのですが、なかなか楽しかったですね。

 

「そのお洋服には、これが似合うと思いますよ。見てください、普通に買うとこんな値段なんですよ~」と、スマホを駆使して交渉してみたり(笑)。「あら、私って意外とバイタリティがあるのかもしれない」と思ったりしました。

 

水野真紀さん
収録の合間にお茶目なポーズ!

── 素晴らしい適応力ですね(笑)。いろんな役柄を演じる女優というお仕事柄でしょうか。

 

水野さん:言われてみると、「自分は今、何を求められているか」を常に意識し、表現するという仕事をしてきましたので、適応力は鍛えられているのかもしれません。

 

お芝居もそうですし、コマーシャルでも、「この15秒間で、クライアントさんが大切にしているものをどう表現しようか」と常に考えます。現場では、できるだけクライアントさんとお話をして、この商品にはどんな思いが込められているのかといった背景や、企業の理念などを伺うようにしてきました。

 

── 家事や仕事もあり、学業に100%専念するわけにはいかない状況で、両立が大変だったのでは?

 

水野さん:どこまで頑張れるのか、自分への挑戦という感じでしたが、幸いにも同居している両親が健在なので、子どものことや家事のサポートをしてくれ、何とか乗りきれました。後期高齢者ですが、セルフコントロールが素晴らしい人たちで、すごく元気。両親を見ていると、自分の老後に責任をもち、健康維持に努めることは大切だなと感じます。

 

特に、私たちはこの先人口の少ない世代に支えられていくわけですから、迷惑をかけるわけにはいきませんよね。人間同士が支え合って生きていく以上、健康でいることもまた、大きな社会貢献に繋がると思っています。

 

PROFILE 水野真紀さん

1970年生まれ、東京都出身。1987年「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。NHK朝の連続テレビ小説「凛凛と」で芸能界デビュー。初代「きれいなおねえさん」として、松下電器(現パナソニック電工)のCMに起用され、大ブレーク。以降、ドラマやCMなどで活躍中。48歳で聖心女子大学文学部教育学科に入学し、50歳で幼稚園教諭一種免許を取得。52歳には保育士試験にも合格。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/水野真紀