目の前の道をただ夢中に生きてきた

── お二人で新しいものをゼロから創って、それを軌道に乗せていくって並大抵ではないと思います。

 

幸三さん:まだ軌道にも乗っていないですよ(笑)。現在進行形、開拓中です。これからが本番というか、新しい世界が開かれていくように思っています。

 

── マキシマクラウンをもっと世に広げなければというお気持ちですか。

 

幸三さん:気持ちはね。でもね、まわりに言われて気づいちゃうんです。後期高齢者って(笑)。「87歳にしては若い」って言われますけど。

 

京子さん:「歳ですから」って言われちゃう。失礼しちゃいますよ。

 

マキシマ研究所の巻島京子さんと巻島幸三さん
長年連れ添ったふたり。息もぴったり

ただ、頑張ってきたご褒美でしょうか。素敵な方ばかりと出会えています。

 

わたくしは、ただ夢中に生きてきただけ。自分の目の前にある道を進んできただけなんです。マキシマクラウンだって、「ひまわり社」時代にあるといいなと思ったもので、まさか自分が創るなんて思ってもみなかったんです。

 

生きるためにやるべきことをしていたつもりだったけれど、今思うと、わたくしの前に進むべき自分の道があったということなんですね。

 

PROFILE 巻島幸三さん・京子さん

東京・谷中でマキシマ研究所を経営。巻島幸三さんは87歳、京子さんは91歳。結婚後、二人でかつらでも帽子でもない、新しい頭飾品「マキシマクラウン」を生み出す。現在も研究を重ね、個性美を大切にした世界で一つのマキシマクラウンを創り続けている。

 

取材・文/高梨真紀 撮影/河内 彩

※「マキシマクラウン」は登録商標です。