早稲田大学の卒業式での赤見千尋さん
早稲田大学の卒業式で

35歳の誕生日で「子どもがほしい」

── 大学に入学したのはそのころですか?

 

赤見さん:そうです。このままだと何かたりないのではと思い、早稲田大学の人間科学部の社会人枠で学ぶことにしました。

 

心理学を学んだり、いろいろな社会人経験がある方と知り合えたり、レポートを提出するようなり原稿もきちんと書くことができるようになったので、とても意義がありました。

 

──騎手時代から結婚や出産の願望はありましたか?

 

赤見さん:ジョッキー時代から特になかったのですが、35歳の誕生日のときにひとり家で過ごしていて、ふと「子どもがほしい」と思いたち、友達に電話をして「結婚するわ」と宣言しました。恋人もいないのに(笑)。

 

ジョッキーを目指したときもそうでしたが、私は決断するとまわりに宣言して、協力してもらうようにするので、結婚もそうして友達に夫を紹介してもらい、大学を卒業した年(2015年)に結婚しました。

 

赤ペンを手に競馬欄をチェックする赤見千尋さん
赤ペンを手に競馬欄をチェックする赤見さん

人間は馬と比べて傷つく言葉を

── 現在、6歳の男の子と4歳の女の子を育てていますが、育児は楽しいですか?

 

赤見さん:子育ては難しくて試行錯誤の連続ですね。育児書などで勉強もしていますが、その通りにいかないのが、育児の大変さだと思います。

 

コロナで保育園が休園中だったときは、飽きさせないために、公園を開拓するようにして全部で20か所は行ったと思います。



── 人を育てるのと馬を扱うのは、どちらが大変ですか?

 

赤見さん:人も馬もおだてれば気分がよくなるのは似ていますが、人間は平気で傷つくことを言ってきます。

 

「ママ、キライ」「ママとイッショには生きていけない」と言われたこともあります(笑)。

 

保育園で登園をぐずる妹に、兄が「お母さんはこれから競馬なんだから」と諭したときは慌てましたね。

 

先生やママたちが聞いたら、何をしているのかと思われますから(笑)。

 

PROFILE 赤見千尋さん

あかみ・ちひろ。1978年、群馬県生まれ。高校卒業後、地方競馬教養センターを経て、’98年に高崎競馬場で初騎乗。2005年に引退後は、リポーター、解説者として活躍。漫画『優駿の門ASUMI』の原作者。早大卒。2児のママ。

取材・文・写真/CHANTO WEB NEWS 写真提供/赤見千尋