本業は声優、ライフワークとして忍者として活動する東大出身の鈴木柚里絵さん。親族はほとんど医者の家系という環境のなかで、鈴木さんが目指したのは声優でした。母との衝突や年齢の壁。鈴木さんが出した結論は──。

「声優になりたい」と母にだけ伝えたら…

青い衣装が決まっている鈴木さん

── 鈴木さんは東大を卒業後、声優として活動されています。声優を目指したきっかけはあるのでしょうか?

 

鈴木さん:小学生のころからアニメが好きで、同級生の子たちと一緒に同人誌を発行するなど、夢中でした。はっきりと声優を目指したいと思ったのは、中学生くらいのときだったと思います。

 

── 鈴木さんのご家族は、医療系のお仕事をされている方が多いとか?

 

鈴木さん:うちは家族、親戚も含めて医師がほとんどです。母は、医師ではないですが、医学系の研究者として働いています。

 

ただ、私は家庭のなかで医療用語が飛び交うような環境で育ち、その反動なのか、自分は絶対に医者になりたくないと思っていました。

 

── 鈴木さんがご両親に「声優になりたい」と伝えたのは、どのタイミングだったのでしょうか?

 

鈴木さん:高校3年生の夏です。母に「声優になりたいから、高校卒業後は大学に行かずに声優の養成所に行きたい」と伝えました。

 

母は、「あなた正気なの!?」と一喝。気持ちを伝えようとしても、お互いの感情がたかぶってしまい、正直話し合いもままなりませんでした。

 

最終的に、母は私が「声優」になることだけは絶対に認めないということがわかりました。

 

── 鈴木さんの思いは伝わらなかったのですね。

 

鈴木さん:私は、幼いころから親や先生に言われたことは絶対だと思って、忠実に守って生きてきたんです。それでも、「声優の道に進みたい」と、初めて自分の意思を示しましたが、理解はしてもらえませんでした。当時は、母のことがとにかく怖くて、それ以上何も言えなかったです。

 

──お母様は、鈴木さんにも医者になってほしかったのでしょうか?

 

鈴木さん:母は、私が小学校のころに東京大学に編入して、その後、大学院に進んで研究者になりました。それもあってか、私にも医者か研究者の道に進んでほしいとずっと思っていたのかもしれません。

 

また、声優についての理解も薄く、絶対に認めてくれることはなかったですね。親族は、声優の活動について好意的に受け止めてくれていますが、母とは話合いも平行線のままです。

 

── お父様は声優になることについて、何か仰られたのでしょうか?

 

鈴木さん:父は何も言わなかったですね。医師の仕事が忙しくて、ほとんど家に帰ってこなかったですし。