子どもの無茶振りもおもしろがる「すべてはエンタメに通ず」
── 意外な苦労があるのですね(笑)。
池田さん:もう少し大きくなればいろいろとわかってくるのでしょうね。ですが、結婚して子どもができたことによって、自分の世界が広がり、創作活動にとても役立っています。
いま、娘とパパの話を執筆しているのですが、子育ての経験や親としての気持ちが理解できるようになったことで、リアリティのある話が書けるようになりました。
家族がいなければ書けない場面もたくさんあって、親としていろんな感情が作品に反映されています。子どもたちのユニークな発想に刺激を受け、創作のヒントになることも多いです。
── 子育ての経験が、お仕事にも役立っているのですね。
池田さん:子どもたちが食いつくものは大人たちにとってもおもしろいはずなので、話をしてみて反応がよければ「間違いない!」と思っています。ただ、大人たちの頭が固すぎて企画が通らないこともありますが…。
── 子どもは「忖度なし」ですからね。
池田さん:少しでもつまらないとプイッと横を向いてしまいますから、ある意味、私にとっていちばん怖い観客でもありますね。
── これまでのエピソードから、お子さんと過ごす時間を心から楽しんでいらっしゃる様子が伝わります。子どもの無茶ぶりにもめげずに応え、根気強く向きあう。どうしてそんなにおおらかでいられるのでしょうか?
池田さん:子どもたちが笑顔になってくれるのが何より嬉しいし、頑張るモチベーションになっています。
でも、もしかしたら自分自身がいちばん楽しんでいるのかもしれません。エンタメをつくる仕事をしていることもあって、どんな状況でも「おもしろがる」習性があるのでしょうね。
時間が全然たりないのに、やりたいことがどんどん増えているから困りものです。最近はイラストを描くことにハマっているのですが、娘たちにも描いて消せるタイプのボードを買って、親子でお絵描きをしています。成長するにつれて、一緒にできることが増えていくと思うのでこれからも楽しみですね。
PROFILE 池田鉄洋(池田テツヒロ)さん
1970年生まれ。東京都出身。俳優、声優、脚本家、演出家と、幅広く活躍。テレビドラマ『医龍~Team Medical Dragon~』シリーズやバラエティ番組『サラリーマンNEO』をはじめ、個性派俳優として多数の作品に出演。ZIP!朝ドラマ『パパとなっちゃんのお弁当』の脚本やオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『悪魔の毒毒モンスター REBORN』の演出を手掛ける。4月から放送される、2023年度前期連続テレビ小説『らんまん』に及川福治役で出演。
取材・文/西尾英子 撮影/伊藤智美 画像提供/ホリプロ