「食事中は座って」と言うのに大人が席を立ったら…
── ときには、きちんとルールとして子どもに伝えなくてはいけない場面もありますよね。怒らずに注意するために、どんな工夫をされていますか?
池田さん:子どもは親や大人たちの姿をマネしますから、自分たちが間違った行動をしていないか、気をつけるようになりました。
たとえば、食事中に「そういえばお水がなかった」とか「おしぼりがないよ~」などと、ついバタバタと席を立ってしまうことってありますよね。
でも、幼い子どもたちがそれを見ると、「食事中に立ってもいいんだ」と感じ取ってしまう。
だから、食事中はできるだけ席を立たずに済むように、きちんと食卓を確認してから「いただきます」をするようになりましたね。
── たしかに親がルールを破っているのに、子どもに「ルールを守ろうね」というのは混乱を招くし、信頼も失いかねません。
池田さん:どうしても立たないといけない場面では、「ご飯のお代わりを取りに行くから、ちょっと席を離れるね」と理由を伝えてから立つようにしています。
── 自分たちの行動を振り返るきっかけにもなりますね。
池田さん:そうなんです。ただ、難しいのは、今度はそれによってお互いの至らない部分が目につきだしてしまって(笑)。
例えば、水道を出しっぱなしにしたままその場を少し離れたり、脱いだ服をしまうのを後回しにしていたり。ほんの些細なことではあるのですが、子どもがマネしたら困るなと。
かといって、「その行動はやめたほうがいいんじゃない?」と細かく指摘するのも、なんだかイヤミになりそうで言いたくない。だから気づいたほうがササッと直したり、整えるようにしています。
── 夫婦で子育てについて話したり、決めていることはありますか?
池田さん:ふだんからたくさん話をするし、仲もいいのですが、あらためて子育てについてお互いの考えを真剣に話したことはないんです。
いまはまだ日々の育児に追われて手が回らないことだらけだから、少し余裕ができたら話してみようかなと思っています。
PROFILE 池田鉄洋(池田テツヒロ)さん
1970年生まれ。東京都出身。俳優、声優、脚本家、演出家と、幅広く活躍。テレビドラマ『医龍~Team Medical Dragon~』シリーズやバラエティ番組『サラリーマンNEO』をはじめ、個性派俳優として多数の作品に出演。ZIP!朝ドラマ『パパとなっちゃんのお弁当』の脚本やオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『悪魔の毒毒モンスター REBORN』の演出を手掛ける。4月から放送される、2023年度前期連続テレビ小説『らんまん』に及川福治役で出演。
取材・文/西尾英子 撮影/伊藤智美 画像提供/ホリプロ