「ビジュアルの期待度が高いので、毎回プレッシャーがあります」と話すのは、1月より放送中のドラマParavi『来世ではちゃんとします 3』(テレビ東京系、Paraviにて独占先行配信)に女装男子・栗山凪役で出演中のゆうたろうさん。シリーズ開始以来、かわいすぎる“男の娘”ぶりに、多くの人が魅了されています。役づくりでのこだわりなどについて、お話を聞きました(全4回中の1回)。

 

ゆうたろうさん
思わず引き込まれる瞳と艶やかな美肌が印象的

自分で女性用下着を用意しての役づくり

──『グランドジャンプ』(集英社)に連載中の人気ラブコメディが原作で、2020年1月からドラマシリーズが始まった『来世ではちゃんとします』。スペシャルを含めると4作目の出演ですが、今回も凪ちゃんのかわいさが話題を集めています。

 

ゆうたろうさん:多くの方が凪ちゃんを好きでいてくれるので、「『かわいくなくなった』ってコメントが、ひとつでもあったらどうしよう…」みたいなプレッシャーや葛藤はあります。

 

役に入る前は、美意識を高めて、今回も撮影の1か月前からダイエットはもちろん、骨格矯正などプロの方にもお願いしてコンディションを整えました。

 

監督やスタッフさんと衣装合わせの段階から相談して、「どれだけかわいく見せられるか」に重点を置きつつ、服装やアクセサリー、メイクもそのときのトレンドを取り入れています。僕も積極的に意見を出しているので、ファッションやメイクの変化にも気づいてもらえると嬉しいです。

 

── 以前からスキンケアについてラジオで話すなど、もともと美意識が高いイメージがあります。

 

ゆうたろうさん:服やメイクが好きだし、スキンケアなども意識は高いほうだと思います。

 

でも女装となると化粧ノリとか肌をふっくら見せるとか、ただきれいにするだけじゃない、全然違う頑張りが必要で。美容医療系も含めて口コミのチェックや女の子に聞くなど、めちゃくちゃ情報収集しますね。

 

ゆうたろうさん
女子より女子力が高い凪ちゃんを演じるゆうたろうさん。素顔もかわいい!

── 最初に役が決まったときは自前で女性用下着を用意して、役づくりをしたそうですね?

 

ゆうたろうさん:凪ちゃんは初めての女装役で、映像として残る作品。自分のプライドとしても、妥協したくない気持ちが特に強くて。

 

女性用の下着は、「凪ちゃんは毎日着ているだろうし、馴染んでいるからこそ服の使い方や歩き方が身についているはず」と思ったんです。

 

慣れるまでは本当に大変でしたけど、「女性用の下着に違和感がある状態で、撮影初日を迎えたくない。違和感があったらもう、僕のなかで役づくりが失敗しちゃう」という意識があって。休みの日はずっと女性用下着ですごすなど、「凪ちゃんとして生きる」期間をつくりました。

 

そのおかげで違和感なく凪ちゃんを演じられたし、個人的に成功体験のひとつになったと思います。

 

実際に経験したことで「きれいになるため、かわいくなるために、女性はこんなに努力してるんだ」と尊敬しますし、理解できたのもよかったです。

「シリーズでの成長を見届けてほしい!」

── 今回の凪ちゃんに、注目してほしいポイントはありますか?

 

ゆうたろうさん:凪ちゃんは19歳ですが、登場人物では一番精神年齢が高いキャラクター。達観して物事を見ているし、かわいくて、自分に対する自信もあって、見た目はかわいいけど、中身はかっこいい人です。

 

でも前回や今回は切ない展開が多くて、強気でグイグイいくけど、弱さや脆さが垣間見えるシーンがあります。

 

女の子以上に女の子していて、かわいい凪ちゃんでも、実際は男の子の体で生まれてしまっただけで想いがかなわない瞬間や壁があって、しんどい気持ちになるところは共感してくれる人も多いと思います。

 

凪ちゃんには思い入れがあるので、自分自身を重ねたり、感情移入しやすかったりして、弱さや脆い部分も表現できたと思うので、ご覧になる方には「一緒に凪ちゃんの切なさを感じてもらえたら…」と思っています。

 

ゆうたろうさん
終始物腰柔らかに取材に応じてくれたゆうたろうさん

── シリーズを重ねて、スタッフや共演者との関係も深くなっているかと思います。

 

ゆうたろうさん:スタッフさんが変わったり、今回も新しい共演者が増えたりはありますが、3年続いているので「みんな友達」みたいな感じです(笑)。毎回、撮影が終わって離れるのが寂しくて悲しくなるくらい、和気あいあいと撮っているし、チームワークがいいですよ。

 

カメラワークを固める段取りの時点でお芝居のアイデアを出し合うことや、監督から「お任せで」と言われることも増えています。

 

監督や共演者の方々に「19歳だと、こういう言い方はしないかも」とか、台本では「後ろからハグ」だけど「凪ちゃんなら前からいきたい…」みたいな提案や相談もしやすいです。

 

みんなで年月を重ねてきたからこそ成長もしていると思うので、そういう変化も感じてもらえれば。

 

── 凪ちゃんが恋する林勝役を後藤剛範さんが演じていて、相棒感も増している印象です。

 

ゆうたろうさん:後藤さんは僕が凪ちゃんになると、ちゃんと女性的な扱いをしてくれるんですよ(笑)。

 

いい相棒というか、いつも凪ちゃんを優先して考えてくれるので、すごくやりやすいですし、セリフの間やお芝居について相談しています。

 

勝さんと凪ちゃんはキャラのアンバランスさが面白いですし、カップルで推してくれているファンも多いので、ふたりの行く末をどうか見守ってほしいです!

 

ゆうたろうさん
カメラマンの要求に応じて不安定な場所で何気ないポーズを決めるのはさすが

主演の内田理央さんとは「姉と妹みたい」

── 主人公の大森桃江を演じる内田理央さんとも、共演シーンがありますよね?

 

ゆうたろうさん:今回もずっと一緒の現場だった日がありました。ほぼスッピンになるシーンがあるんですけど、内田さんは目鼻口もしっかりしてらっしゃるし、お肌もきれいで…。メイクしていなくても変わらなさすぎて、改めて「すごいな」と思いました。

 

でも美容について内田さんから「なにを使っているの?」と聞かれたこともあるし、逆に僕からしたら「なにがコンプレックスなんですか?」って(笑)。

 

撮影の合間に最近ハマっている美容法とか、「メーカーもこれに落ち着いちゃった」とかいろいろ教えてもらいました。ヘアメイクさんも加わって美容トークや恋バナで盛り上がって、すごく楽しかったです。

 

── 桃ちゃんというか、内田さんが凪ちゃんを「かわいい!」言っているイメージがあります(笑)。

 

ゆうたろうさん:内田さんはずっと、僕に対して妹みたいに接してくれます。「かわいいね」って、自己肯定感を底上げしてくれるような言葉をずっと言ってくれて…。

 

現場を常に明るくしてくれるし、ちゃんと自分の意見、桃ちゃんとしての意見を監督やプロデューサーにぶつけて、みんなでつくり上げようとする姿勢が「すごくかっこいいな」って、知れば知るほど感じます。

 

遠くから見ていると、そういうかっこよさや頼りがいのある方。でもそばに近寄ると包容力があって、僕を愛でてくれる(笑)本当に親戚のお姉さんみたいな存在です。

 

ゆうたろうさん
アンニュイな表情も魅力的

 

PROFILE   ゆうたろうさん

1998年広島県生まれ。2016年にデビューし、モデル・俳優として多くの作品で活躍。2022年12月主演映画『僕らはみーんな生きている』が公開され、1月よりドラマ『来世ではちゃんとします 3』に出演中。

 

取材・文/鍬田美穂 撮影/二瓶彩 ヘアメイク/三浦彩