倉庫管理やトラックの運転を経て、プロのミニチュア作家に

── そこから地道に制作活動を続けられて、現在はミニチュア制作一本のプロとして活動されていますよね。

 

田中さん:そうですね。それまでは、食品会社や運送会社で倉庫管理やトラックの運転をやっていたこともありました。社員からアルバイトへの転身を申し出たりして、生活のなかでミニチュア業の比率を徐々に上げていきました。

 

「カップラーメン」のミニチュア
爪より小さい!「カップラーメン」のミニチュア

田中さん:今はおもに、ミニチュアの制作、ミニチュア教室の講師業、イベントの主催などをやっています。

 

日々、忙しいことは忙しいのですが、なんと言ってもやっぱり好きなことなので。仕事も趣味もミニチュア制作ですから、「仕事終わりに好きなことをする」「帰ってからゆっくりする」という概念がないんですよね。もうずっと循環しているというか、朝起きたら作る、疲れるまで作業を続ける、という毎日です。

 

はたから見たら「忙しそう」と言われるのですが、そのぐらい好きなことに打ち込めるというのは本当に幸せなことですよね。

 

「ミニチュア作家」というと、どうしても「趣味」のようなイメージが強いと思うのですが、ぼくは「ミニチュア作家」というのをひとつの立派な職業にしていきたいと思っているので。そのためにも、ミニチュア界全体の活性化にも貢献していきたいです。

 

PROFILE 田中智さん

nunu’s house主宰。ミニチュアアーティスト。食べ物や雑貨など身近にあるものを題材に、リアリティを追求したミニチュア作品を制作。イベント「ミニチュアアート展」やミニチュア教室を主催するなど、ミニチュア市場の拡大にも尽力する。著書には『田中智のミニチュアコレクション』『田中智のミニチュアセレクション』など。

 

取材・文/中前結花 写真提供/田中智