話題の小学生「いっちゃん」と初コラボも!

── 作品をSNSに投稿しようと思ったのは理由があるんですか?

 

キボリノコンノさん:きっかけはコロナ禍ですね。もともと人と交流することが好きなタイプなのですが、コロナ禍でそれが難しくなりました。人と交流したいなあと思って、SNSに作品を投稿するようになりました。

 

僕はプレゼントやサプライズが大好き。みなさんに喜んだり楽しんだりしてもらいたいと思って、「ちぎれるふわふわ食パン」や「ダイヤモンド」など、あえて「木では表現できないだろう」と思われるものをモチーフに選んでいます。

 

── SNSで話題になったヨックモックの代表菓子「シガール」の作品にも驚きました。

 

キボリノコンノさん:ありがたいことにSNSで大変反響がありました。その後、ヨックモックの社長さんにまでその話が伝わり、なんと青山本店に伺って実際にお会いすることに。この展開には正直、私も驚きましたね。社長さんは「見た目も重さも本物そっくり」と驚いてくださって。今も作品を本社の入り口に展示してくださっています。

 

── SNSやメディアをきっかけに、小学生のお弟子さんもできたとか?

 

キボリノコンノさん:そうなんです、お弟子さんが(笑)。ぼくより数か月前に木彫りを始めた「いっちゃん」という小学3年生で、「バターしみしみパン」という木彫りを作ってSNSでバズった子です。

 

以前、僕の作品が朝のテレビ番組で紹介されたとき、いっちゃんのお母さんから、「娘がテレビに見入ってしまって、なかなか学校へ行ってくれませんでした」という嬉しいメッセージをいただきまして。

 

後日、そのお母さんといっちゃんがぼくの展示会に来てくださって、初めてお会いしました。そのときにいっちゃんが「バターしみしみパン」を持ってきてくれたんです。そのでき栄えにびっくりして、その展示会に一緒に飾らせてもらいました。

 

そのときから、いっちゃんは僕のことをずっと「師匠」と呼んでくれて、今はお母さんを通して、「師匠」「弟子」というやり取りが続いています。アドバイスし合う仲なので、どちらが師匠か分かりませんが(笑)。

 

2月にはいっちゃんと一緒に大阪で展示会をすることになりました。趣味で始めた木彫りがこれほど世界を広げてくれることになるとは、1年前には考えられませんでした。切磋琢磨して生まれるこれからの作品にも期待していただければと思います。

 

PROFILE キボリノコンノさん

木彫りアーティスト。大学のデザイン学部を卒業後、家具製作などに携わる。現在は事務の仕事をしながら、趣味の木彫りでさまざまな作品を制作しSNS(@kibori_no_konno)で紹介するほか、展示会も。2023年2月には「『いっちゃんとキボリノコンノ展』in大阪」を開催。

取材・文/松永加奈 写真提供/キボリノコンノ