「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマに、おいしいごはんや素敵な旅を通じて、人と人を繋ぐ。そんな活動をしている料理家・ダーダこと山田英季さんによる、連載エッセイ。山田さんが「とにかく、今これが食べたい気分」な美味しいレシピを、作っているときの熱量も一緒にお届けします。
#26 年越し準備。「かえし」と「だし」で作る、ざるそば
年の瀬がやってきました。今年こそそばをと思っている、そこのあなた。朗報です。美味しい年越しそば、まだ間に合います。
そばを打つわけではないのですが、「かえし」と「だし」をしっかり作って、美味しい年越しを迎えるのはいかがでしょう?
まずは、「かえし」を作ります。かえしとは、しょうゆ、みりん、砂糖を合わせた「だし」に味をつけるための合わせ調味料です。
通常、作ってから1~2週間ほどおいて、熟成させ、しょうゆの角をとっていきますが、今回はみりんを多めにして、最初から角の取れた「かえし」を作ります。
鍋に、みりんを入れて沸かし、アルコールを飛ばします。これを「煮切る」と言います。少量の場合は、電子レンジでも煮切ることができるので、覚えておくと良いでしょう。
そうしたら、きび砂糖としょうゆを加えて、沸かさないように混ぜながら、砂糖を溶かします。沸かしてしまうとしょうゆの風味が飛んでしまうので注意です。アクが出ていたら、すくいとり、そのまま冷やします。
次は「だし」を取ります。
鍋に、昆布、干ししいたけ、煮干し、水を入れて、2~3時間ほどおいておきます。こうして戻しておくと、だしが出やすくなります。
今回は、複雑なだしでシンプルにざるそばを食べたかったので煮干しを使いましたが、お好みの材料でだしをとって大丈夫です。
そうしたら、鍋を火にかけて、ひと煮立ちさせ、中火にして混ぜながら5分煮ます。混ぜるとそばの香りに負けない、強い味のだしが取れます。
次に鰹節を入れて、1分ほど煮、そのまま3分ほどおき、冷まします。
ここまでできたら冷蔵庫で冷やしておき、当日にそばを茹でて、「かえし」と「だし」を1:3で割ってざるそばにします。
市販のめんつゆとは違う風味と味が、きっと美味しい年越しのお手伝いをしてくれます。
かえしを使って、温かいそばにしたいときは、1:8で割ると美味しく召し上がっていただけますし、煮物の味つけや、卵かけごはん、お刺身を食べるときに、おしょうゆに少し混ぜると美味しいです。
12月の台所三箇条
- おいしい年越しは、自家製のかえしとだしで
- かえしをとことん使い倒す
- 今年もたくさん台所仕事をした自分を褒めてあげましょう
それでは、みなさまの新しい一年が、たくさんの美味しい食事に巡り合いますよう心よりお祈りしております。良いお年をお迎えください。