新喜劇のオーディションに合格!署長は目が点に

── ご家族は最後まで反対されたんですね。なによりも勤務先の警察署の方々はずいぶん驚かれたでしょう。

 

酒井さん:
退職理由に「第3個目金の卵オーディション合格のため」と書いて提出したら、「どういうことや!?」と署長の目が点に。

 

新喜劇を目標にしているなんて誰にも言っていませんでしたし、そんな人、誰もいませんでしたから。

 

でも、退職日には職員総出で、署から花道を作るようにとり囲んで私を送り出してくれました。警察署に入ってちょうど1年半が過ぎたころです。

 

前段一番右が酒井さん。隣には芸歴56年目の池乃めだかさんの姿も

── 酒井さんは、警察署の皆さんにも愛されていたんでしょうね。

 

酒井さん:
それはわかりませんけど、本当によくめんどうをみてもらいました。新喜劇に入ってから、「奈良県警の一日署長」の仕事をさせてもらったときは、恩返しできたような気持ちになって嬉しかったです。

 

座長就任前の2017年5月、なんばグランド花月で初の単独ライブを開催したのですが、客席に警察官がたくさん来てくれました。いま、ここで事件起きたら即解決やわ、って(笑)。

 

途中でやめた私をこんなに応援してくれるなんて、本当にありがたいです。

 

PROFILE 酒井藍さん

奈良県出身。2007年、奈良県警(事務)勤務を経て、吉本新喜劇「第3個目金の卵オーディション」合格。2017年、30歳で吉本新喜劇初の女性座長に就任。柔道二段。

 

取材・文/岡本聡子 画像提供/吉本興業株式会社、酒井藍