「へたくそ」というヤジも…プロゲーマーとしての苦悩
── 今のようなゲーム大会やプロゲーマーが活躍されるようになってきたのはいつぐらいからでしょうか。
ふぇぐさん:
2018年が『eスポーツ元年』と言われていて、賞金制の大会も増えてきたんです。世界でもますます盛り上がってきていますし、日本もそれに追いつきそうな勢いがあります。
以前は、ゲーム大会は無料だったりサブイベント的な扱いだったのですが、いまでは日本一を決める大会の入場チケットがすぐ売り切れたり、『シャドバ』のプロツアーも有観客でチケットを販売しているんです。eスポーツも、お金を払ってでも見たいものになってきたのだと感じています。
── ふぇぐさんの世代よりも年代が上のプロゲーマーの方もいらっしゃるのでしょうか。
ふぇぐさん:
『ストリートファイター』シリーズのような、格闘ゲームは30代、40代と年齢層も高いですね。僕もそのぐらいまでプロでいられたらいいなって思っていますね。
── ゲームの大会では海外遠征も経験されました。
ふぇぐさん:
今まで韓国、台湾、中国と3か国に行ってきました。『シャドバ』は日本が製作したゲームですが、ユーザーの6割が海外の人たち。僕が海外に行く時はエキシビジョンマッチに招待されることが多いんです。
── プロゲーマーになって大変だったことは何ですか?
ふぇぐさん:
周りからの期待がプレッシャーになるというのはありますね。ファンのなかには、“次も頑張れよ”って言ってくれる人がいる一方で、 “へたくそ、やめろ”ってヤジを飛ばすタイプもいて。
── 精神的にきついですよね。
ふぇぐさん:
表舞台に出ている以上はしようがない、って諦めてはいます。でもアンチからも文句を言わせないようなプレーを毎回できればいいなと思っています。
── 昔から憧れている人などはいますか?
ふぇぐさん:
野球のイチロー選手のような、集中力を高める方法を持っている人がすごいって思います。『シャドバ』は、1ターンがわずか90秒しかない。90秒で相手の手札を読んで、自分の手札と相手の手札を比べて、そのなかで最適な手札を見つける、その繰り返しです。
でも、なにかで集中が途切れてしまうと、マイナスなことばかり考えてしまったり、弱気な選択肢を選んだりしてしまって失敗したり。勝つ戦略パターンを90秒で考えるために練習は必要なんです。
でも最近、集中力が落ちてきているんですよね…年のせいかな(笑)。
PROFILE ふぇぐさん
1994年生まれ。よしもとゲーミング所属のプロゲーマー。2018年『シャドウバース』世界大会で優勝。今後の活躍が期待されているプロゲーマーの一人。著書に『億稼ぐプロゲーマーになる方法』(KADOKAWA)。
取材・文/池守りぜね 撮影/二瓶 彩