24歳でオンラインゲーム『Shadowverse(シャドウバース)』の世界大会「ワールドグランプリ2018」で優勝、当時日本のeスポーツ大会史上最高金額となる賞金100万ドル(約1億1000万円)を手にし、話題となったプロゲーマーのふぇぐさん。プロ転向5年目の今、プロゲーマーとして生きていく覚悟について、お話を聞きました(全4回中の3回)。

大会前は1日12時間練習

── ふぇぐさんの人生を変えた『シャドウバース』ですが、既存のゲームに例えると何と似ているのでしょうか。

 

ふぇぐさん:
将棋よりも運の要素が強いので、麻雀が近いと思います。麻雀のカード版、みたいな感じですかね。

 

プロゲーマー・ふぇぐさん
長時間同じ姿勢でプレイし続ける忍耐強さも

── 運の要素が強いとはいえ、相手の手札から戦略を考えてプレイされるのですよね。

 

ふぇぐさん:
そうですね、理詰めな部分はありますね。思考力を磨かないといけないので、大会前には練習時間も増えます。僕の場合、普段から8時間くらいプレイしているのですが、世界大会で優勝したときには、12時間練習する日が1か月ほど続きました。

 

── ものすごい練習量ですね…!

 

ふぇぐさん:
当時は1か月で10キロ痩せましたね。実家だったので、母が栄養を考えた料理を作ってくれていたんですが、ゲームに夢中になってあまり食べられなくて。

 

── お母さんは、プロゲーマーになると伝えてから心配されていませんでしたか?

 

ふぇぐさん:
世界大会の頃にはもうプロゲーマーになっていたので、そういう職業だと理解してくれていました。“やりたいことをやりなさい”っていう方針だったので、母親からは特に反対もされずにのびのびやっていましたね。

 

── ちなみに、優勝して手に入れた賞金は何に使いましたか?

 

ふぇぐさん:
最初の大会で400万円を手にしたときは、留年したときの学費が100万だったので、100万円は親に渡しました。それからはずっと飲み会が続いて、だいたい奢らされていましたね(笑)。

 

プロゲーマー・ふぇぐさん
賞金の使い道を聞かれてはにかむふぇぐさん

── 海外の大会では優勝賞金が1億円と、かなり高額ですね。

 

ふぇぐさん:
日本と規模が違いますよね。『シャドバ(「シャドウバース」の略、以下同)』は去年世界大会が開催されなかったので、今年は賞金が1億5000万になって。他チームのプロが優勝したのですが、その人が獲るまでは1億円を獲得した僕が国内賞金ランキングの1位だったんです。

 

── 世界大会で優勝したときは、周りの反響はどうでしたか?

 

ふぇぐさん:
反響はすごかったですね。大学1年以来ずっと連絡を取っていなかった人から急に連絡がきたり、とにかくいろんな人から声をかけられたので、たくさんの人が見てくれたんだなと実感しました。

 

── ふぇぐさんは練習などで努力されていますが、周りからは優勝賞金などだけ注目されたりすることへ葛藤はありませんでしたか?

 

ふぇぐさん:
僕がプロになった2018年初頭に比べると、今はかなりゲームの認知度が上がってきていて、プロゲーマーという存在も認められていると感じています。

 

僕が大学生のときはそうじゃなかった。“優勝してゲームのプロになる”って大学の友達に言ったら、“ゲームをやってお金をもらえるの?”、“そんな職業あるわけないだろ”って冷たくあしらわれたこともありました。

 

でも今では大学生はプロゲーマーという職業を知らない人はいないレベルにまでなってきた。eスポーツをはじめとする「ゲーム」そのものが、多くの人にとって身近なものになってきたんだというのはすごく感じますね。

 

プロゲーマー・ふぇぐさん
eスポーツの未来を担うふぇぐさん

── さらにゲーム文化を世間に浸透させたいという思いで行っている活動はありますか?

 

ふぇぐさん:
最初はゲーム配信をして『シャドバ』を知ってもらいたかったのですが、Youtubeとプロゲーマーとの両立は難しくて。今はメディアに出させてもらって、ゲームの名前だけでも覚えてもらいたいです。