プロゲーマーを決意するも、父親から殴られるほど反対され

── ご両親にプロゲーマーになる決意を伝えたときは、どのような反応でしたか。


ふぇぐさん:
2017年に『シャドウバース』の世界大会があって、僕はベスト8で敗退しました。その年に優勝した人に負けたのがすごく悔しくて。そのときはまだプロリーグの話はなかったのですが、1年間ゲームを本気でやってリベンジしたいと思ったんです。

 

── 本気でゲームをやりたいと伝えたのですね。

 

ふぇぐさん:
親戚が集まっているときに、父親が“来年は大学卒業しろよ”って言ったんです。それに対して “ゲームを本気でやりたいので休学する”って伝えたら、初めて父親から殴られて…。

 

プロゲーマー・ふぇぐさん
大好きなゲームを仕事に…芯の強さを感じる佇まい

── そんなことが…それは大変でしたね。

 

ふぇぐさん:
わが家は祖父も父も僕もみんな、明治大学出身で。3代明大卒だと、卒業式で表彰されるらしく、まさにそれがおじいちゃんの生きがいだったんですよね…。

 

── それじゃ、ただ大学を休学するのとは訳が違いますね…。

 

ふぇぐさん:
僕も表彰の話をずっとずっと聞かされていたので相当悩みました。でもそれくらい『シャドウバース』を本気でやりたいって思っていたんです。翌年の世界大会で優勝したとき、おじいちゃんは“大学の表彰式のことなんて全然いいよ”って言ってくれて…本当ありがたいなと思いました。

 

── 孫として孝行ができましたね。

 

ふぇぐさん:
そうだと思いたいです。最初の世界大会の前はあまり練習をしていなくて、準備不足だったんですが、負けたあとすっごく悔しくなって。あと3回勝てば優勝だったんだと思うと、もっと練習ができたんじゃないか、もっとこういう選択ができたら勝てたんじゃないかって、ずっと考えていて。初めてこんなに熱中できるものに出会えたという感覚でした。

 

プロゲーマー・ふぇぐさんがプレイする様子
『シャドウバース』はマウスを駆使してプレイするゲーム。スマホでも楽しめる

── それまでは、なんとなく大学生活を過ごしていたのが、初めて熱中するものに出会ったのですね。

 

ふぇぐさん:
そうですね。来年は後悔がないようなプレイをしたい、そもそも翌年の世界大会に出場ができるかわからなかったけれど、“絶対に出場する! “ということを目標にして、1年間『シャドウバース』と向き合いたいと決意しました。

 

PROFILE ふぇぐさん

1994年生まれ。よしもとゲーミング所属のプロゲーマー。2018年『シャドウバース』世界大会で優勝。今後の活躍が期待されているプロゲーマーの一人。著書に『億稼ぐプロゲーマーになる方法』(KADOKAWA)がある。

 

取材・文/池守りぜね 撮影/二瓶 彩