漫画家として活動している枇杷かな子(@kanakobiwa)さん。日常生活や思い出話をメインとした漫画をSNSに日々投稿しています。そんなかな子さんが、お母さんとのとある日の出来事についての投稿に対し「お互いを思いやる気持ちが素敵」とのコメントが多数寄せられ、話題となっています。
なかなか食欲が出ないお母さんの元へ
ある日、食べることが大好きなお母さんから、食欲がないことを電話で打ち明けられたかな子さん。現在、闘病中で薬を服用していることから、その影響で食欲がなくなってしまったそうです。
かな子さんは心配になり、何か食べられそうなものはないかと尋ねたところ、スープなら少し食べられるかも…とのこと。少しでも何か食べられればという想いから、かな子さんは急きょ、かぼちゃのスープを持って実家へと急ぐのでした。
お母さんの元に着くと「悪いねー」とどこか申し訳なさそう。少しでも元気になればという想いがあったかな子さんに対し、お母さんは娘に迷惑をかけてしまったと、どこか後ろめたさがあるようです。
そんななか「あっそうそう」と何かを思い出したお母さん。持ってきたのは、袋いっぱいに詰まった野菜や果物でした。
こんなにいっぱいの野菜や果物。「これ持ち歩くの重かったでしょ」と伝えると、お母さんは「あんた果物食べたいかと思ってさ」と答えるのでした。
改めて実感する「ありがとう」の大切さ
現在、闘病中のお母さん。今は体力的にも安静にしておいて欲しいかな子さんとしては、複雑な心境です。
「身体に負担かけちゃだめじゃんっ…」。そう言いかけたとき、お母さんが果物や野菜を選ぶ姿を想像して、その好意を否定することはできないと思いなおします。
そして、その言葉をグッと堪えて「ありがとう」とひとこと伝えるのでした。
お母さんは闘病中ながらも、娘であるかな子さんのことが気がかりのよう。「きっとこれはお母さんがやりたいことなのだろう」と思い、無理はしないでほしいということだけを伝えました。
帰宅後、仮にお母さんを悲しませることになったとしても、もっとしっかりと伝えたほうがよかったのだろうかと考えていたかな子さん。するとお母さんから「パンと一緒に食べました。美味しかったです」とのメールが送られてきました。食欲がないと言っていたお母さんにホッと一安心。
自分の中にある「相手を心配する気持ち」を優先するあまり、ひとこと言いたくなることもありますが、それ以前に「ありがとうという気持ち」を忘れないようにしたいと改めて思ったかな子さんでした。
そんなかな子さんとお母さんのやりとりに、コメントでは「お互いを想いあっていて素敵な親子ですね」「ほっこり温かい気持ちになりました」「お母さまとの時間、大切ですね」といった反響が寄せられました。
かな子さんは現在、少しでもお母さんが楽しく過ごせたらと思い、可愛い花や猫など何げない写真を送って連絡を取り合っているとのこと。また、オシャレが好きなお母さんがつけまつ毛やウィッグをバッチリしている姿を見ると、ホッとするそうです。
母が子を、子が母を想う気持ちはいくつになっても変わらないもの。お互いを尊重しあうためにも、日々の「ありがとう」の大切さを改めて実感するエピソードでした。
取材・文/北崎早希