長年にわたる視聴者の見解は
義母に「今回の朝ドラ、いろんな評判があるみたいですけどどうですか?」と聞いてみたところ、返ってきた答えは…。
「えっドタバタして面白いわよ?あんまり難しいこと考えて観たことないもの」というものでした。
思えば、義母は毎朝熱心に朝ドラを観てはいるものの、つまらないとか納得いかないとか、作品そのものへのマイナスな感想を口にしているのを見たことがありません(意地悪な登場人物へ怒りを向けていることなどはありますが)。
義母にとって、朝ドラはもはや毎日のルーティンに組み込まれた日常そのもので、過剰に期待したり失望したりするような対象ではないのだろうと、そのとき初めて気づきました。
また、義母はSNSなどで自分の感想や意見をマメに発信するような習慣もありません。
他の人たちが盛んに感想や意見、はたまた考察などを呟いているのを目にするうち、私も無意識に自分の意見や立場を表明しなければならないような気分になっていましたが、考えてみればそんな義務はひとつもありません。
私もTwitterをやっていなければ、いちいち観たドラマや映画や漫画の感想を誰かに伝えなければ、という不思議な義務感をこれほど感じることはなかったでしょう。
毎日、時報のように流れる短いドラマ。多少納得いかないことがあっても、そういうものかとサラリと流せる義母の楽しみ方も良いものだなぁ…。
今日もリビングに流れる朝ドラを横目に見ながら、そんなふうに思ったのでした。
文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ