まちの人たちの感謝がやりがい

── フィルムオフィス代表になってからも、神戸の人たちに届けることを大切にしておられます。

 

松下さん:
この仕事の大きなやりがいは、そこに住んでいる人たちに、街の新たな一面を知ってもらえることです。たとえば、2020年には、浜辺美波さんや北村匠海さんが出演する映画『思い、思われ、振り、振られ』という映画の撮影が神戸で行われました。

 

『思い、思われ、振り、振られ』の高台の公園での撮影の様子

ただ、ラストシーンを撮影する公園がなかなか見つからなかったんです。私たちが提案したところも「イメージと違う」と何度も却下されました。最終的に、高台の住宅地にある公園に決まりましたが、そこはいままで撮影が行われたことのない、私たちも予想していなかった場所でした。

 

撮影のお願いを自治会長さんにしたところ、「え、ここでいいんですか」とすごく驚かれました。でも、出来上がったラストシーンでは、普段何の意識もしていない公園で、映画の主人公たちがキラキラと夢を語り合っているわけです。そんな場面を見て「こんな風に撮ってもらえるなんて…」と感動してもらえました。

 

神戸市でのロケの風景

── いろいろな人に協力してもらってつくりあげるお仕事なんですね。

 

松下さん:
いまの仕事は、自分ひとりでは何もできません。力をお借りするためには、いいことも悪いことも包み隠さずお話しし、納得してもらうことが重要です。ときには撮影現場に呼んで一緒に撮影を見てもらうこともあります。下手に出て協力してもらうというよりは、一緒に戦ってくれる戦友を増やそうとの気持ちで人と接しています。