“絶対に仕事を落とさない”と誓った訳

── そこから軌道に乗ったのですね。

 

ウメチギリさん:
いいえ、迷う時期もありました。娘に病気が見つかり、それまでと同じようには活動ができなくなったのです。

 

感染症にかかりやすく保育園にも行けないので、毎日、娘とふたりで隔離病棟の無菌室か自宅アパートで静かに過ごしていました。

 

カッターで切ったと思われがちだけれど全部手でちぎった「ひとふでちぎり」

「しばらく制作活動を休もう」その矢先、地元の新聞社から文芸連載の挿絵の依頼が来たんです。期間は3年間。毎週、山形の民話にまつわる原稿の挿絵を作る仕事でした。

 

挿絵なら小さなバッグに材料を入れて病室でも作業ができると考えて引き受けることに。制限のある状況でも自分にできることがあると希望の光が見えて、とてもありがたかったですね。

 

ただ、原稿に書かれている昔の言葉や方言、その当時の文化などを毎回調べるのには苦労しました。

 

でも千本ノックさながら、どんな状況でも3年間絶対に仕事を落とさないように頑張りました。このときプロとして仕事をするスキルが身についた気がします。