連日のように円安に関するニュースが報じられ、先日は約32年ぶりの円安水準を記録。輸入商品の値段が上がるため、悲観的な報道も多いですが、最近は入国制限の緩和でインバウンド需要のメリットも報じられています。その背景について経済アナリストの森永康平さんが解説します。
インバウンド消費が激増するか数字で見てみると
円安にはメリットとデメリットの両面が存在します。円安のメリットの代表的なものとして、訪日外客数の増加が期待できるということが挙げられます。
この円安がハイペースに進行するタイミングにあわせるかのように、10月に入って水際対策の緩和が実施されました。
10月11日以降、海外からの入国者数の上限が撤廃されただけでなく、外国人観光客の入国をパッケージツアーに限定する措置も解除されました。
この水際対策の緩和に円安が追い風となって、インバウンド消費が高まることで国内のホテルや飲食店など、コロナ禍で厳しい状況にあった業種がようやく再起するきっかけになるのでは、と期待が高まっています。
実際に訪日外客数のデータを見てみましょう。日本政府観光局が公表している「訪日外客数の動向」によると、2022年9月の訪日外客数は20万6500人と前年同月比で1065%、約11倍も増えていることがわかります。
もちろん、昨年9月は強力な水際対策をしていたわけですから、そこと比較して大きく伸びているからといって手放しに喜ぶわけにはいきません。実際、コロナ前の2019年9月と比較すれば、当時の数字からは90.9%も少ないのです。
とはいえ、前月比での伸び率を見てみると、足元の3か月は毎月20%前後の伸びを維持していて、少しずつではありますが、着実にインバウンド消費が回復している認識を持つことは間違ってはいないでしょう。