知的障がいのある人が作った野菜が5分で売り切れることも

── 障がい者雇用の特徴を具体的に教えてください。

 

北原さん:
身体障がい、精神障がいなどいろいろな障がいをお持ちの方がいて、障がいの特性によって配慮をしていますが、ファミリーマートでは、仕事の成果はしっかりと求めています。また、「一人ひとりの自己実現を応援したい」という気持ちで向き合っています。そのために、得意分野でご自身の力を発揮してもらえるように所属部署などを決めています。

 

例えば、2016年から千葉県の流山市にある「えかオーガニック農場」では、約50人のメンバーが有機野菜の栽培をしています。知的障がいの方を中心に野菜作りをしていて、その野菜は流山近辺のファミリーマート店舗でも販売していますが、この野菜を目当てにお店に足を運んでくれるお客さまもいるほど好評です。社内向けの通信販売では申し込み開始から5分で売り切れたこともあるんですよ。

 

── 5分で売り切れるとは、作り手にとっても大きなやりがいにつながりそうですね。

 

北原さん:
そうなんです。また、今年の初夏には、初めて新人社員研修を農場で行いました。障がいのあるメンバーたちと一緒に働くのですが、研修後のアンケート調査では、参加した新入社員の9割が「研修前に比べて障がいに対する意識が前向きに変わった」と回答がありました。

 

そのほか、障がいに関するマークや手話を学ぶ勉強会、農場体験会など農場のメンバーと交流できる時間をつくり、お互いの理解を深めるようにしています。

事務業務の効率化に貢献する仕事も

── 農場のほかにも、本社には「業務サポートグループ」という専門の部署があるそうですね。

 

北原さん:
はい。「業務サポートグループ」は事務サービスやクリーンサービスを行う部署で、現在、障がいのあるメンバーが30名ほど働いています。

 

ファミリーマートには多くの部署があるので、各部署から事務サポートや施設備品管理、空調の温度設定、ステーショナリーの補充などの仕事を業務サポートグループで受けています。

 

郵便物や宅配便の仕分けもこのグループの仕事です。例えばファミリーマートの本社には1日100個くらい宅配便が届きますし、300くらいある社内のポストに郵便物や全国から届く社内のメール便を仕分けする必要があるのですが、メンバーはみんなどの部署のポストがどこにあるかを全部覚えていて、驚くほど早く作業しています。

 

また、ファミリーマートの子会社がある文京区のビルのワンフロアを借りて、名刺の印刷や文章のスキャンなどの業務も行っています。

 

業務サポートグループの業務がどんどん効率化されていることで、社内の事務業務なども効率化が進んで、会社への貢献度も高くなっていると感じています。