相談できる上司や同僚の存在が働くモチベーションに

── 会社への貢献度を感じられるとやりがいにもつながりそうです。実際に働いている方の様子はいかがですか?

 

北原さん:
仕事を始めてから、できることが少しずつ増えてきて、最初は短時間勤務だったのが1時間ずつ働く時間を増やしてフルタイム勤務を目指すなど、ご本人の自信にもなっているようです。

 

また、精神障がいの方などには、体調に合わせて仕事を調整することなどができるように、自分から上司や同僚に相談しやすくなるような環境をつくっています。業務以外の相談にものる専用の社内相談窓口もありますが、ご本人にとって日々近くにいる上司や同僚が相談しやすい環境をつくってくれていることが、長く働き続けてもらうための秘訣のひとつではないかと思っています。

 

現在、障がい者雇用で働いている方で、仕事の悩みを理由に退職する方はほとんどいない状態なんです。

 

── 店舗でも障がいのある方の採用を積極的に進められているそうですね。店舗での業務はスピード感やお客さまへの柔軟な対応などが求められていて、採用されることは多くないとも聞きますが、いかがですか?

 

北原さん:
店舗でもいろいろな障がいの方が働いていて、最近は知的障がいの方も、品出しや清掃、用度品の発注などで積極的に活躍していただいています。精神障がいを持つ方のなかには、すべての店舗業務を担ってもらいながら、若い社員やアルバイトスタッフなどの相談にのってもらう場合もあります。

 

障がいのある方が活躍するためには職場の理解が必要です。ファミリーマートでは、視覚障がいや聴覚障がい、高齢者の方の目線に立つきっかけをつくるための社員向けの疑似体験会も行っています。

 

障がい者の方の雇用については、東京だけでなく、大阪や名古屋のオフィスでも進めています。最近は北日本エリアでも採用の取り組みをスタートさせました。今後は全国に拡大していきたいと思っています。

40代、50代以降も自分らしく働き続けられるように

── 現在、課題に感じていることはありますか?

 

北原さん:
農場のメンバーの平均年齢は20代なのですが、長期的なことを考えると、彼らが40代、50代になって体調やライフスタイルの変化を感じたときに、その先も長く自立して働き続けられるような仕事の内容や場所を検討していく必要性があると感じています。

 

取り組みはまだこれからですが、ファミリーマートの仲間たちが自分らしく活き活きと働き続けられる姿を想像しながら解決できるように工夫を重ねたいと考えています。

 

取材・文/高梨真紀 撮影/河内 彩