「全然変わりましたね。大げさに言えば、生まれ変わったみたいな」と、乳がんを経験しての変化を語るタレントの山田邦子さん(62)。最新アルバム『ザ・山田邦子カーニバル!』を発売し、明るく元気なイメージが強い山田さんですが、2007年に乳がんが発覚。2度の摘出手術を経験しています。がんになってから起きた意識や日常の変化について、お話を聞きました。(全3回中の2回目)
どこか「1人で戦っている」気持ちがあった
── 乳がんを経験されて、まず意識や考え方はどう変わりましたか?
山田さん:
今日という日の大切さが、実感できるようになったというか、「今日をちゃんとしないと、明日が来ないんだな」と思うようになりましたね。
それに、お医者さんや看護師さん、励ましてくださるファンの方や、家族、友達がいなければ、回復もしなかったでしょうし、手術もできなかったと思います。本当に遅ればせながら、周囲との支え合いや絆の存在を痛いほど感じました。
── 大御所から後輩まで、さまざまな芸能関係の方々と交流があり、昔から多くのスタッフに囲まれて番組や舞台をつくり上げていらっしゃいます。“周囲と支え合う感覚が強い方”というイメージがあるので、少し意外です。
山田さん:
ピン芸人だから、独りぼっちで全部考えて、自作自演だと思ってやっていた部分が大きかったんです。プロデューサーや作家の方、スタッフがいるのに、どこか“1人で戦っている”気持ちがありました。でも今は、「チームなんだな」って、ことさら感じるようになりましたね。
仕事の内容や、みなさんと仲良くすること自体は、変わらないんです。でも、自分の中の意識は、すごく変化しました。
がんにはならないほうがいいけれど、なったことによってね、いいことがいっぱいありました。これはもらえる人と、もらえない人がいるらしいですけど、神様からの贈り物で「キャンサーギフト」と言うらしいですね。いろんなことに気づかされましたし、感謝しています。