「困っちゃった?」に隠された優しい寄り添い
たまままさんは自身の経験をもとにこうも教えてくれました。
「この言葉は子どもが一瞬で素直な気持ちになれる魔法のような言葉だと思います。子どもたちも、大人が『分かってくれる』と感じると、みずからの気持ちを話してくれます」
たまままさんの言うとおり「困っちゃった?」の声掛けは、「声をかけた人もかけてもらった人も、どちらの心も助けてくれる魔法の言葉。世界で1番優しい言葉」なのではないでしょうか。
現在、たまままさんには2歳6か月になる娘さんがいます。
そんなたまままさんは、「してあげる」より「しない(見守る)」育児を心がけているそうです。
「失敗するだろうなと思っても、助けを求められるまでは手を貸さず、自分でできた嬉しさを感じられるようにしています。とはいえ一緒にいるといろんな面が見えすぎてしまうので、ついつい手を出したくなる気持ちと戦う毎日です」
また、幼稚園教諭のときとはまた違った母親としての葛藤も一緒に教えてくれました。
「幼稚園の先生をしているときには子ども同士のケンカを中立の立場になって諭せていましたが、母親になってから娘が誰かとケンカしたとき、娘の立場になって受け止めることなく相手に謝るようにうながしてしまうことがあります。受け止めてあげたいなと思いつつも、相手がいる手前、親としての建前を優先してしまい悩むことは少なくありません」
子どもと接する機会の多い仕事だったからこそ、現在の子育てとのギャップに悩むこともあるのですね。
子育てに正解はありません。しかしもし声掛けに悩んだときには、たまままさんの教えてくれた“寄り添える魔法の言葉”、ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。
取材・文/可児純奈