失礼かもしれない…けどこれが正解!?
今年の義母の誕生日プレゼントを探していた私は、ほとほと疲れ果てていました。花屋も服屋も雑貨店も見尽くして、これというものがさっぱり思い当たりません。
ふと目をやったドラッグストアの棚に、ちょっと高級な女性用育毛ローションを見つけた私は、義母の「最近、年齢のせいか髪のボリュームが少なくなってきて嫌なのよねぇ」という言葉を思い起こしました。
もう…これでいいのでは?
確かにプレゼントに育毛ローションというのはデリカシーに欠けるかもしれない。
いや、でもお値段はヘアケア用品として高級な部類…そういえば義母も、昔、私へのプレゼントに、「痩せるお茶」をくれたことがあったじゃないか…!
これは失礼度合いとして、完全にお互い様ではないか…!
もはやプレゼント選びに疲れきった私の目に、育毛ローションは燦然と後光が差して見えるのでした。
さて、実際に育毛ローションをプレゼントした義母の反応はというと、決して大喜び、というわけではありませんでした。
しかし決して満更でもない、という表情を見て、この路線で間違ってはいなかったのだ、と確信を強めました。
プレゼントは今現在、洗面所の義母の化粧品コーナーに仲間入りし、中身も順調に減っているようです。
効果のほどはわかりませんが、義母が気にいるのなら、もはや毎回プレゼントはこれでもいいのでは…?ちょっとした花束でも添えて…と思ったりもしました。
人に物をあげるのは、家族であっても難しいものですね。
文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ