二日目にして家の粗食が恋しい
確かに、旅行でしか味わえない解放感はたっぷり満喫しました。
しかし、嬉しいと思っていた外食三昧に、私は二日目にして早くも飽き始めたのです。
長いこと旅行から遠ざかっていたので、外食が続くことに体が慣れていなかったのでしょうか。
品数の多いホテルの朝食バイキングに歓声を上げたのも初日だけ。子どもたちはモリモリ食べていましたが、私はわが家の粗食が恋しくなりました。
義父母と夫は今頃何を食べているだろうか、やっぱり今日も義父の畑で採れた茄子を炒めたりしたのだろうか、と、飽き飽きしていたはずの義父の夏野菜にさえ懐かしさを感じる始末です。
せっかくの久しぶりの遠出なのに、これはよくない。思いきってひと晩くらい豪遊しよう、そう思ってネットで近隣の口コミの良いお店を探しました。
旅先に届いた義母のLINE
子どもたちを引き連れて訪れたお店は馬肉専門店でした。
出てきた馬肉料理は、どれも口コミ高評価が納得の美味しさ。普段ならば予算の都合で渋るような注文も、今日だけは許す!と大盤振る舞いし、前菜からデザート、私はワインと日本酒まで満喫しました。
お会計はちょっとひるむ金額になってしまいましたが、しかし、これだけで済んだのは三人だから。六人家族全員で来たらこの倍額では済まない(お酒を飲むメンバーが増えるので)と思うと、滅多にできない贅沢をしたと深い満足感に浸ったのでした。
しかし、やはり気になるのは残してきた家族のことです。
自分たちだけ贅沢をしてしまった…今日も家ではなす炒めの夕食を囲んでいるかもしれないのに…と、今更ながら罪悪感に苛まれていたところに、家族LINEグループに義母からメッセージが送られてきました。
「夕飯は何を食べていますか?わが家はいいステーキ肉を焼いています」
なるほど、離れていても考えることは一緒。
少人数だからちょっとくらい贅沢をしてもOK!と、主婦二人が同じタイミングで考えたことに思わず笑って、そして安心しました。
いや、予算総額的には結局オーバーしているので笑いごとではないのですが…。
嫁不在期間を終えた義母の感想
さて、三泊の旅程を終え、やっと帰ってきたわが家はやっぱり良いものでした。
義父母も「日ごろ居る人たちが居ないと寂しかったわ」とのこと。
いやいや、そうは言っても最初は解放感があったんじゃないですか?と聞くとやはり、
「一日目は静かでいいわと思って、二日目は人数少ないからちょっと贅沢しようと思って、三日目になってやっと寂しくなった」とのこと。
三世代同居家族、居なくて寂しいと思ってもらうには、最低三泊くらいは必要なようです…。たまには離れるのもいいな、と気づいた夏休みでした。
文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ