姉妹で金メダル「そんなにうまくいく?」が「きっと獲れる」に
── 東京五輪の代表に選ばれるまでは、どのような気持ちで過ごされていましたか?
金城さん:
レスリングを始めて、東京オリンピックで優勝して今に至るまでの過程は、誰よりしんどい思いをしたという自信はあります。代表争いもものすごく厳しかったですし、本当にいろんなことがあったなかで獲った金メダルでした。
当時はめちゃくちゃ苦しかったし、逃げたいと思ったこともありました。でも誰にでもできる経験じゃないって考えたら、ポジティブに捉えられるようになったし、結果的には辛い経験とは思っていません。
── 姉妹で金メダルという快挙を成し遂げました。姉妹での優勝という目標はずっと掲げていたのですか?
金城さん:
リオ五輪が終わって以降、ずっと「次は2人でメダルを」と言い続けてきました。そう言いつつ、そんなにうまくいくかな…と心のどこかで疑っている部分があったけれど、東京五輪が近づいてくるにつれて、「姉妹で一緒に頑張ればメダルが獲れるかもしれない」という確信に変わってきました。
── 東京五輪は、残念ながら無観客試合でしたね。どう感じていましたか。
金城さん:
無観客になったのは残念だったけれど、やっぱりすごく特別な大会でしたね。家族はもちろん応援してくださっている方々や、SNSを通じて「チケット取りました」というメッセージをいただきました。そういう声を聴くと、ぜひ生で観てほしかったなという思いもありました。
でも大会期間中はとても思いを巡らせる余裕はなくて(笑)。とにかく大変だったし、開催されるだけでありがたいなと思いました。競技をすることに対してもリスクがあったので、いろんなプレッシャーがありました。今までとは違った気持ちで、レスリングに取り組んでいた気がします。
PROFILE 金城(旧姓・川井)梨紗子さん
石川県出身。レスリング選手として、2016年リオデジャネイロオリンピック63キロ級、2021年東京オリンピック57キロ級にて優勝。プライベートでは、昨年結婚、出産し現在は女児のママ。
取材・文/池守りぜね 写真提供/金城梨紗子