まるで人間のように二本足で立ち上がる猫たち。見ていると微笑ましいだけでなく、こちらが励まされているような気持ちになります。そんな「立ち猫(R)」の姿に魅せられたのが写真家の山本正義さん。今ではInstagramのフォロワーは約15万人と大人気ですが、なぜこの立ち姿の猫にハマっていたのでしょうか。 

英紙『タイムズ』にも掲載「立ち猫(R)」撮影のきっかけは偶然

── 猫の立ち姿なんてリアルでは見た記憶がほとんどありません。

 

山本さん:
よく「シャッターチャンスを狙って撮っているのですか?」と聞かれるのですが、実は、狙って撮った写真はないんですよ。僕の場合は、猫の写真を撮っているというよりも、常に猫ちゃんと遊んでいただいている感じですね。ファインダーをのぞかずに、シャッターを押すこともよくあります。

 

バンザ〜イ!(撮影:山本正義さん)
バンザ〜イ!(撮影:山本正義さん)

最初に撮れた立ち猫の写真も同様で、いつものように猫に遊んでもらいながらシャッターを押していたら、偶然、足を踏ん張って立ち上がっている猫ちゃんの写真が撮れたんです。

 

── 最初は偶然だったんですね。でも山本さんが撮影された猫たちの姿を見ていると、励まされる気がします。

 

山本さん:
僕自身もそうです。猫ちゃんに励ましてもらって、背中を押してもらってここまで来ました。

 

以前、仕事も写真もうまくいかなくて悩んでいた時期がありました。そんな葛藤の中、2017年に瀬戸内海の島へ猫の写真を撮りに行くことになり、「青空の下、華やかな道を行く猫の姿を撮りたい」というイメージが、不思議なくらい鮮明に浮かんできたんです。

 

写真に対する自信を失い、再度写真を撮るきっかけになった作品「希望の立ち猫」(撮影:山本正義さん)
写真に対する自信を失い、再度写真を撮るきっかけになった作品「希望の立ち猫」(撮影:山本正義さん)

当時は組織で仕事をしながら週末に写真を撮っていたのですが、写真に専念したくて、仕事を辞める決心をしたところでした。でも、なかなか満足できる写真が撮れず、写真家としてやっていけるか自信を失っていたんです。

 

そんなとき、島で撮らせてもらったのが、立ち上がる猫ちゃんの写真「希望の立ち猫」でした。イメージしていた通りの構図だったので、自分でもびっくり。青空の下、一面に広がる花畑に立つ姿が、希望へ向かう僕自身を投影しているような気がしました。