2022年5月にオープン1年を迎えたカヌレ専門店「マヤノカヌレ」は金・土・日曜日しか開かない北鎌倉の隠れた人気店。オーナーの高橋浩介さんはニューヨークにあるイタリアンレストランでの勤務を経て、帰国後、店をオープンした。

 

カヌレは妻の摩耶さんが小麦粉アレルギーになって食べられなくなったため、米粉を用いてグルテンフリーで作っている。店名もそのまま「マヤノカヌレ」。二人の愛が詰まったカヌレの秘密と、鎌倉移住の感想を聞いた。

 

マヤノカヌレの暖簾

コロナ禍でレストラン開業からカヌレ店に方向転換

摩耶さんは1999年から2008年ごろまでニューヨークでアパレル関係の仕事をしていた。帰国後は京都でホテルの仕事に就いていたが、横浜に住む義理の姉が病気に。姪が小さかったため「これは手伝いに行かないと後悔する」と、横浜へ移住を決意した。

 

花が好きだったため、生花店で働きながら兄の家庭の手伝いをした。趣味で花をドライフラワーにし、樹脂加工して作った花のアクセサリーの販売も始めた。

 

店に並ぶカヌレ

そんなころ、友人の紹介で会ったのがニューヨーク帰りの浩介さん。自然とつき合うようになったという。

 

レストラン開業を目標に都内の飲食店で働いていた浩介さんだったが、2020年の春、コロナ禍が世界を襲った。

 

「都内で新たに今、お店を開くのは現実的ではないかもしれない」

 

そう判断した浩介さんが、摩耶さんと相談した結果、たどり着いたのがテイクアウトもしやすいカヌレの店だった。「家でみんなで食べて、幸せな気持ちになれるものを作ろう」と話し合った結論だという。

 

マヤノカヌレのお花のカヌレ

当時、鎌倉に住んでいた摩耶さんが、最寄りで物件を探したところ、北鎌倉駅から徒歩20秒の場所に骨董品屋の空き物件が出ていた。店の雰囲気に惹かれて契約した。