金融機関が融資を断ることも、なかなか売れない…

── 家を購入する上で、どんなデメリットがあるのでしょうか。

 

三平先生:
地図混乱地域の土地は、あくまでも法務局の地図(公図)では土地の位置が特定できていないだけで、理論的には所有権は存在するんですよ。だから、理論的には売却や担保設定といった処分ができるんです。

 

しかし、実際には公図で位置が特定できない土地を買う人がなかなか現れない、またはよほど安くないと売れないということになります。

 

また金融機関では通常、公図で位置が特定できない土地を担保として認めないので、ローンを組もうとしても融資を受けられません。そのため、買おうと思った人が現れたとしても買えないということになってしまうのです。

 

分筆登記もできないので、次に分譲する(売却する)ことも難しくなります。災害が起きた後、復旧する際にも公図からは、どこが誰の土地か、ということを正確に読み取ることができないので、復旧に時間がかかることがあります。

土地を分析するイメージ(PIXTA)

再開発など行う際も土地の権利者の了解をとる前に、筆界(境界)の位置をはっきりさせるために時間がかかることがあり、開発が進みにくいことがあります。

 

筆界(境界)が不明確なので、公道を開設することはほぼ不可能です。敷地の間の通路は私道とするしかなくなり、自分たちでその地域の下水管の管理などをする必要がある場合も出てきます。

 

登記には、各土地の所有者がはっきりと記録されていますが、その土地の位置を、公図からはっきりと読み取れないため、所有権の範囲の紛争になってしまうケースもあります。