ある夫婦がふらりと建売住宅を見に行きました。「あら、素敵な建物、いいじゃない」と気楽に申し込みをしてから、ふと気になって知人に相談すると「公図は見た?」との助言が。公図とは法務局が管理する土地の境界や建物の位置を確定するための地図。不動産会社に連絡してもらうと、実際の土地の形状とはまったく異なる区分けが記載されており、「ここは地図混乱地域ですよ」との説明が。一体どんな土地なのでしょう。みずほ中央法律事務所の三平聡史先生に教えていただきました。 

 

三平聡史先生(本人提供)

正確に公図に反映されていない地域

── 地図混乱地域とは一体何なのでしょうか。

 

三平先生:
地図混乱地域は、公図混乱地域などとも言われます。法務局の地図(公図)と現地が広範囲にわたって相違している地域のことです。

 

── どうしてそのような土地があるのでしょうか。

 

三平先生:
さまざまな理由があります。簡単にいうと、古い時代に土地の境界(筆界)を変更して、そのときに公図に正確に反映しなかった、ということです。現在であれば正確に地図(公図)に反映するのでそんなことはあり得ないのですが。

 

区画整理が中断されてしまったのかもしれませんし、土地の配分などの関係で紛争が生じたために、正規の登記がなされないまま、事実上事業が中断されて現在に至っている地域もあるでしょう。

 

また、正規の法手続きによらない私的な土地改良、数人の関係者が事実上土地の交換をした、土地の位置及び区画を変更したなどの地域でも起こります。

 

川の氾濫や山崩れ等による災害後、土地所有者らが任意に土地を区画して占有したことによるものでも起きます。