ウナギのために出かける義父母

先日の土用の丑の日の昼間、義父母が珍しく連れ立って出掛けて行きました。

 

夕方帰宅した二人に、どこへ行ってたんですか?と何気なく聞いたところ、ばつの悪そうな顔で「…おじいちゃんと二人で、ウナギ食べてきちゃった」と答える義母。

 

「いや、いいんですよ!そんな別に、法に触れてるわけじゃないんですから」とフォローした私に、義母は「だって家族のみんな、高いからウナギ我慢してるのに、私たちだけ悪いじゃない」との返事。

 

いやいや!ウナギが高いから、絶滅の心配を口実にして食べないようにしてたわけじゃないんですって!私だって内心すごく食べたいんですって!

 

そう力いっぱいお伝えしましたが、半信半疑といった面持ちの義父母。信じてくださいよ…。

食べる人を責めるつもりはない

そもそもウナギを食べないということ自体、私の自己満足の色合いが濃い行いでありますし、老い先短い(かどうかはわかりません、二人とも元気なので)高齢者である義父母には、好きなものを好きなタイミングで食べてほしいという気持ちもあります。

 

夫婦二人で、家族みんなの分は出せないお値段の美味しいウナギを食べに行ってくれる分には、私はとても責め立てる気にはなれません。

 

その旨を義父母に話してようやく解りあい、改めてちょっとホッとしたような気持ちになった義父母と同居嫁でした。

 

こうして、ウナギを食べたくて仕方ないのに我慢しなければならない(と決めた)のは、家族で私一人となりました。

 

今日も魚屋の店頭で照り照りと魅惑のツヤを放つウナギの蒲焼を横目に、早く完全養殖のウナギを食べられますように…!と強く強く願うのでした。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ