40代でできた友達が「人生の宝物」に
── ジェーン・スーさんとのpodcast番組『OVER THE SUN』は堀井さんにとって転機となる番組だったのではと想像しています。ご自身が思っていた以上に反響が大きそうですよね。
堀井さん:
もうそれは、スーちゃんといつも言っています! この番組でいろんなものが動いたねって。先日、大学で教える機会があったのですが、女子大生たちに「聞いてます!」と言われて「えーっ!?」って。嬉しかったけれど、あまりにも想定外でした。
おばさんの話を聞くって、私が20代のときにはありえなかったことなので。この現象が、この先どうなるかを見てみたいなという気持ちはあります。収束していくのか、違う形になっていくのか…。だって私たちも、次第におばあさんになっていくわけだし。
── スーさんとの女友達的な関係も番組が人気な理由だと思います。番組内で「大人になってできた友達」とお話しされていましたが、これまでの友達とは違いますか?
堀井さん:
そうですね。昔からの友人やママ友は、ファッションやメイクも自分と似た雰囲気の人が多いです。スーちゃんと私は、見た目のタイプは違うけど、わりと中身の芯の部分がよく似ています。ゴールに向かって執着して目標を達成するとか、考えや感覚が近いというのかな。
知り合ったのは8年前ぐらいですが、親しい仕事上の関係から、家族のように気をつかわなくていい関係になったのは3~4年前ぐらい前のことです。
お互いのキャラクターがまったく違うことを楽しめるようになったのは、年齢的なこともあるかもしれません。20代だと人と比べちゃうことも多いし、30代40代は仕事や子育てに一生懸命で…。アラフィフになって初めて、精神的な余裕ができたのかも。
友達って面白いですよね。スーちゃんと出会わなければ、自分がプロレス観戦に行くとは思いもしなかったから。相手のために何かしてあげたいとか、助けになりたいと思う気持ちは、女同士の友情のなかにも生まれてくるものだと思います。
── コロナ禍で人との付き合い方に変化があった人も多いはずです。大人になって仲のいい女友達ができることは、うらやましいと思う女性もいるかもしれませんね。
堀井さん:
スーちゃんも40代で仲良くなった人ですが、もうひとり5~6年前に仲良くなった友人がいて。彼女は異なる業界の人で、いまは一緒に泊まりに行ったりする関係。「この人がいなくなったら死んでしまうかも」と思うほどの親友です。
初対面で気が合ったので仲良くなりたかったのですが、子どもみたいに「今日から友達!」というわけにはいかないですよね。大人だからこそ、仲良くなるのに時間はかかります。彼女も「最初は勇気がいった」と言うんですけど、ご飯に誘ってくれて…。デートみたいでしょ(笑)。次は私から誘って、親しくなりました。
彼女とは、互いになんとなく遠慮しながら、距離を取りあったりする期間ももちろんありました。けれども、あるときから、どちらからと言うわけでもなく気持ちが通じる感じがあって。そうなると楽ですよね。なんの気兼ねもいらない関係の友人がいることは、これからの人生の助けにもなってくれそうです。
PROFILE 堀井美香さん
ほりい・みか/1995年にTBSに入社。現在はフリーのアナウンサーとして仕事をする傍ら、自身のプロジェクトとして朗読会を主催する。週1回のPodcast番組『Over the sun』を配信中。近著に『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン)。
取材・文/大野麻里 撮影/北原千恵美