お店に着いたらまず最初に窓を開けて30分ほどかけて掃除する

知人に誘われて足を踏み入れた「スナック」の世界。魅力にすっかり惚れこみ、一橋大卒業後は、就職せずに先代から店舗を受け継いで、「スナックのママ」として働き始めた坂根千里さん(23歳)。実際に経営してみて感じたこと、スナックの秘める可能性や今後の夢について聞きました。

「スナックのママになる」そのとき両親は…

学生時代、スナックに惚れこみ、JR南武線谷保駅の近くにある「すなっく・せつこ」でアルバイトとして働いていた坂根さん。

 

経営者だったせつこママに、「あなたにお店を継いでほしい」と言われ、スナックのママになる決意を固めます。

 

「ただ、その道のりは簡単ではありませんでした。創業資金の確保や収入の見通しが立つのかといった課題もありましたが、両親が認めてくれるかも気になるポイントでした。

 

理解のある両親ではありましたが、“すんなりとはいかないだろうな”とは感じていました」

「お客様と毎日違う話ができるのも楽しい」と話す坂根さん

スナックの道に進む夢を伝えると、母親は「好きにすればいいんじゃない」と言ってくれました。一方、父親は「その道は甘くはないと思う」と言っていたそう。

 

「父は、やりたいことを理解してくれてはいました。でも、事業としてとらえたとき、私の考えの甘さを感じていたようです。だから“まずは、私(父)を説得してみなさい”と言われました。

 

父が納得できない事業内容だったら、銀行や他の人を巻きこんだときも、うまくいかないと思うと指摘されたんですね」

 

さっそくプレゼンしたものの、結果は完敗。熱意は伝えたものの、肝心の事業内容が詰め切れていなかったのです。

 

自分の生活費を含めた事業計画になっているのか、長期の計画はどうなっているのかなど、父親からの鋭い質問には、うまく答えられず正直タジタジでした。

 

「でも父からの質問は、私も不安に思っていた核心でした。これではいけないと、何度も計画を練り直しました。父に3回くらい事業プレゼンに付き合ってもらい、ようやく認めてもらえました。

 

父は私の甘さに気づき、みずから壁になってくれたんです。両親には感謝しかありません」