PTAには「みずから手を挙げて参加」
── 積極的に学校のPTAに積極的に参加されていたという記事を拝見しました。時間がない環境でも、PTAに参加した理由は?
堀井さん:
当時はテレビに頻繁に出ていたこともあり、遠くから「あ、あの人…」という目で見られるのが、子どもにとってよくないと考えていました。それなら最初から中に入って、陰であれこれ言われないほうが、私の精神的にも楽だなって。1年生のクラス会ですぐに手を挙げました。
もちろん、仕事との両立は大変でしたよ。学校にマイスリッパを置くぐらい、学校には通いましたから。でも、一緒にPTAをしていた方々が上手に分担して、私の仕事が忙しいときはひたすらベルマークを貼りつける係にしてくださったことも…ありがたかったです(笑)。
── PTAの役員は避けたいと思っている家庭も多いと思います。ご自身の経験から「やってよかった」という点はありますか?
堀井さん:
見ず知らずの土地に住んだので、ご近所に知り合いもいない。PTA役員になったことで先輩ママの知り合いができました。そうすると「あの先生こうなのよ」「あそこの塾がいいわよ」とか、いろいろ教えてもらって。
当時は土日の仕事が多かったので、学校行事に参加することが難しかったんです。運動会で娘が1人でどうしよう…と困っていたときに、「一緒に食べるから大丈夫だよ」と電話をくれたお母さんたちがいて。うれしかったですね。
結局、娘はいろんなご家族に誘ってもらって、どこで食べたらいいかわからないほど大忙しだったそうで(笑)。いつも皆さんが仲良く声をかけてくださって、それは私がPTAをやっていなければかなわなかったことかもしれません。
── 身近な場所に、お子さんのことを理解してくれている人がいると安心できますね。
堀井さん:
とくに感じたのは、東日本大震災の日でした。夫婦ともにテレビ局の社員だったので、震災のときは仕事が忙しくなり、帰宅することができなくて…。
子どもたちは当時、小学生でした。家に2人でいることはわかっていましたが、自宅周辺は停電していて、電話も通じない。それでも、私も夫も全然心配していなかったんですよ。絶対、近所の誰かの家にいるはずだ!って。
ようやく帰宅したら、案の定、子どもたちはご近所の家にいました。「いろんな人がチャイム押しにきたよ」と言っていて(笑)。私は人と関係を築くことが苦ではないこともあって、地域や学校の方々となるべく関わりをもつようにした結果、たくさん助けていただけたと思います。
PROFILE 堀井美香さん
ほりい・みか/1995年にTBSに入社。現在はフリーのアナウンサーとして仕事をする傍ら、自身のプロジェクトとして朗読会を主催する。週1回のPodcast番組『Over the sun』を配信中。近著に『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン)。
取材・文/大野麻里 撮影/北原千恵美