「おきりこみうどん」は本当に美味しくて

── 「ぐんま大使」としての活動を行うなかで、群馬の推している部分はありますか?

 

井森さん:“海なし県”ではあるんですけど自然に囲まれていて、温泉や観光できるところもあり、郷土料理もお野菜もおいしい。

 

それと、東京から割と近い!というのは、打ち出していますね(笑)。

 

── 大人になって改めて感じた「群馬のここがすごい」というところは?

 

井森さん:私が東京に出てきたときに、フキノトウとかタラの芽とかが東京だと値段が高かったり、売っていなかったりしました。

 

そういう山の幸を、群馬では季節ごとに山に取りに行っていたので、いちばんの贅沢を地元でしていたと思います。

 

住んでいた頃は、そういうありがたみをまったく感じたことがなかったけれど、東京に出てきてすごく感じたんですよね。

 

群馬で当たり前だと思っていた日常が、東京では当たり前でなかった。すごく恵まれた環境が群馬にはあったんだなと思いました。それは大人になればなるほど実感しますね。

 

名産品や郷土料理を食べたときもそう思いますね。田舎のおばあちゃんが家で小麦粉をこねて打って作ってきた「おきりこみうどん」は、本当においしいなって感じます。

 

群馬は素朴な味の料理が多い中、ふるさとの味を観光のひとつとしても打ち出しているのがいいところだと思います。

東京生活37年も地下鉄マップが手放せない

── お話を聞いていると、井森さん自身にも群馬の県民性である親しみやすい自然体な雰囲気を感じてしまいます。

 

井森さん:自然体ではありますね。むしろ、自然体過ぎるって言われちゃうんですけど。

 

東京に出てきて37年も経ちますけど、じつはどこか東京になじめていないというか…やっぱり、群馬が好きですね。

 

いつも東京に気後れしているのは変わっていません(笑)。東京に出てきたとき駅に置いてあった地下鉄マップもいまだに持っていて、古い女なんですよ、私。

 

ある意味、頑固なところがあるのかもしれないです。新しいものを取り入れながらバランスよく過ごしていきたい気持ちもあるんですけど、古いものも持ち続けていきたい気持ちもあって。

 

「こだわり」「ブレない」みたいなカッコいいものではないですよ。

 

ただ私、そんなに周囲から“都会”を求められてない(笑)。それに気がついたときにすごくラクになりましたね。

 

20代の頃は何となく都会のカッコよさも意識したり、30代の頃はキャリアウーマン的な発言をしなきゃと思ったりしていました。

 

でも、そこはもう頑張らなくてもいいんだ、そこを求められていないことに気がついたとき、肩の力が抜けた気がしました。

いま挑戦したい仕事がひとつあります

── 群馬県で育ったルーツが、井森さんの人柄に通じているんですね。

 

井森さん:そこは変わらないと思います。田舎で育ったからこそ活きるトークもあって。

 

群馬で育った経験がなかったら、もしかして“今の私はなかったな”っていうことは、たくさんありますね。

 

── そんな自分のルーツを大事にされてきた井森さんのこれからの展望は?

 

井森さん:何かをやりたいっていうよりは、自分の生き方や、仕事にも通じているのかもしれないですけど、「もう一度会いたいな」って思ってもらえる人になりたいなとは思いますね。

 

「あの人、また会ってみたいな」って思ってもらえたらうれしいですよね。そういう生き方ができるのが、私の憧れです。

 

強いて言うなら、“声”の仕事はやってみたいです。ナレーションの仕事とか、なかなかそういう仕事に縁がなくて、もしチャンスがあったらやってみたいですね。

 

PROFILE 井森美幸さん

1968年群馬生まれ。ホリプロキャラバングランプリを経て、1985年4月21日デビュー。以来、バラエティを中心に活躍を続ける傍ら、ふるさとの群馬をPRする「ぐんま大使」も務める。趣味の野球観戦が高じて、高校野球にも精通。

取材・文/小松加奈 撮影/富本真之 ヘアメイク/伊東久水 スタイリング/平野真智子 衣装協力/novice(ノーヴィス)、BELLE MARIEE