直線縫いから始まるアイテム展開
── 若い方は、これまでミシンを使う機会があまりなかったのではないかと思うのですが、どのようにカバーされているのでしょうか。
山部さん:
協力してくださっているアパレル産業のプロの方が、技術をしっかり教えていくほか、なるべく直線縫いだけで仕立てられるようにデザインを組み立てています。
そうすることで初めてミシンを踏むという若年女子受刑者の方も、基本の直線縫いから練習することができますし、直線縫いだけで仕立てられるようなデザインを組み立てることによって新しいアートファッションが生まれると考えています。
これまでの着物に対するイメージや、既存のアパレルファッションに対する概念を取っ払えるような、新しい多様性が「NIJIMU」というブランドに含まれていけば嬉しいです。
── 直線縫いを基本に、とのことですが、どのようなアイテムを展開されていくのでしょうか。
山部さん:
まずは「あずま袋」という一枚の布を直線で縫うと完成する、シンプルなバッグをみとびらの定番アイテムにしようと思っています。その後、スカーフや、トートバッグ、スクエアタイ、バケットハットと進めていき、それができたら次のステップとしてシンプルなトップスやボトムス、と展開していく予定です。
価値ある着物を現代のライフスタイルに溶け込ませる
── 着物の生地を使用することにこだわったと伺いましたが、なぜでしょうか。
山部さん:
はい。着物の生地は天然の高級素材であるシルクのものが多く、大変アーティスティックなものだと思っています。また、着物は七五三や成人式、結婚式など人生の節目に着用されることが多く、それぞれに思い出を持っています。
素材としても想いの部分でも価値のある着物を、現代のライフスタイルに沿った形で活かしていくということに、こだわりをもっています。思い出を受け継いでいければと思います。