とにかく片づけたい人の弊害

「そういえばこの前、おじいちゃんが何か台所でゴソゴソやってたわ」

「…この辺に雑然とあるものを、とりあえず片づけてみた感じですかね」

 

そう、義父はとにかく雑然としているものを見ると箱や容器にしまわなくては気が済まない、片づけ魔なのです。

 

確かに、決して整理整頓されているようには見えないわが家の台所ですが、主に台所に立つ私と義母の間では、食材の置き場所は暗黙の了解が成り立っています。よく使うものはこの辺のカゴにまとめて…と、どこのご家庭もだいたいそんなものではないでしょうか。

 

しかし義父はそれが落ち着かないらしく、とにかく目についたものをきれいに箱にまとめて、しまい込んでしまうのです。

 

今までは主に自室や居間でその習性を発揮していたのですが、ついには台所にまで…。

 

几帳面なのはおじいちゃんの性格だからね、と諦めの境地だったわれわれ嫁姑も、これには我慢なりません。タイミングが大事な料理の途中に、あるべき場所に食材がない苛立ちは半端なものではありません。

 

「いい加減にして!!普段料理しない人が台所のものを勝手に片づけないでちょうだい!!」

 

ついに義母に大目玉を食らった義父。これで懲りるかと思いきや…。

収納にかける義父のあくなき探究心

数日後、義父がとある100円ショップに行きたいから車を出してくれと言い出しました。何を買うんですか?と聞くと、

 

「この前テレビ番組で、いろいろと収納に便利なものがあるって紹介してたから」とのこと。

 

嫌な予感がして「…キッチンの収納用品はいりませんよ?」と釘をさしておきましたが、義父は聞く耳を持っていない様子。

 

(…また勝手に台所の片づけをしたら、今度こそ義父の庭仕事の道具の入った倉庫を私が勝手に配置換えして、100円ショップで買ったスコップとかこれ見よがしに置いておいて差し上げますからね…)

 

そう、静かに闘志を燃やしている今日この頃です。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ