本業では気づけない価値観や出会いが得られる

「ふるさと兼業」での経験は、利用者にとって何をもたらすのでしょうか。

 

「『勤務先ではできない経験をし、出会えなかっただろう人と仲間になれた』という声はよく聞きます。

 

また、プロジェクト後も兼業先から仕事を頼まれて自信につながり、独立した例もあります。

 

価値観が大きく変わった人もいました。その方が所属していたのは競争の激しい金融業界。

 

勝ち組へのプレッシャーに苦しんでいたけれど、ふるさと兼業で自分を求めてくれる相手が現れ、一緒に働いたことで、多様な評価軸や価値観を受け入れられるようになったそうです。

 

彼はその後、地方に転職し、『生きるのがラクになった』と話してくれました。

 

まだ、ふるさと兼業をきっかけにした地方への移住自体はあまり多くありません。ただ、人によっては、働く場所・住む場所の自由な組み合わせも可能だと気づき、生き方を見直すきっかけになることもあるようです」

 

PROFILE 南田修司さん

奈良県出身。2009年にNPO法人G-netに加入し、副代表、共同代表を経て2017年より代表理事に就任。2018年、ふるさと兼業を開始。

取材・文/岡本聡子 写真提供/NPO法人G-net、杉浦味淋株式会社