「出世はムリそう」でも夫はかけがえのない存在
「夫は大手企業の営業マンですが、おそらくあまり出世はしないと思います(笑)。本人もそれを望んでいない。
仕事は生活の糧を得るものと考えていて、プライベートを楽しみたいタイプ。ただ、人を楽しませるのが好きだし、宴会部長でもある。
人の嫌がる仕事もやるから重宝はされているみたいですね。本人は出世しないことをなんとも思ってないし、“人生、楽しく生きた者勝ちだよねー”とノーテンキ」
だからこそ周りを笑顔にすることができるのでしょう。出世だけが生きがいではありません。
ユカさんは、「今の職場でそれなりに出世したい」と考えていますが、そういう生き方を否定もしないのが夫のいいところ。
「人に対してネガティブな言葉を使わないんですよ。私にも娘にも。何か言っても、“そうだね”と、まず受け止める。
母もそれに気づいて、父の前で夫を褒めたんです。そうしたら、父が最近、母の話を聞いても『そんなことはないだろ』と否定しなくなったんですよ」
両親にとって、娘の夫は夫婦関係を修復した救世主。仕事で成功して裕福になったとしても、むしろ心の余裕が失われることが多い中、ユカさんの夫のような人は貴重な存在だと言えそうです。
文/亀山早苗 イラスト/前山三都里
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。