安田さち
結婚して13年になります

「まさか結婚するとは思わなかった!」と語るのは、芸人「安田大サーカス」の団長の妻・フリーアナウンサーの安田さちさん。さちさんが団長と付き合い、結婚するに至るまでは、相手が芸人ゆえの心配もあったと言います。現在は幸せだと語る安田さんですが、どのように相手と向き合って、今に至るのでしょうか。

偶然割ってしまったグラス

── 団長との出会いについて教えてください。

 

安田さん:団長とは、名古屋のイベントのお仕事で知り合いました。私が司会で、安田大サーカスがゲスト出演していたんです。イベントが終って楽屋にいると、安田大サーカスのマネージャーさんがやって来て、「団長が一緒に写真を撮りたいと言っているんですけど、いいですか?」って言ってきたんです。

 

私からしたら、団長の方が圧倒的に有名人。まさか私にそんなことを言ってくれるなんて、と少し驚きながらも一緒に写真を撮りました。すると、さらにマネージャーさんが団長に「ついでに電話番号も聞けば?」と言っていて、その場で番号を交換することになったんです。

 

── マネージャーさんが誘導していって。

 

安田さん:後からマネージャーさんがお話してくださったんですけど、団長は、あまり自分から声をかけるタイプではないと。マネージャさんからみて、「団長が気になっているのか」と思って気を利かせてくれたようです。

 

── 仕事も恋もアシストを。その後、お二人で会うようになったんですか?

 

安田さん:団長と電話で何度かやりとりするうちに、もう一度会おうとなったんです。初めて2人で会ったのは名古屋。食事をして、その後カラオケボックスに行って。そこでしばらく歌っていたら、団長が持っていたグラスを落として割ってしまったんです。私は、割れたグラスを普通に片づけましたが、団長は「私が嫌な顔をせずにグラスを片づけてくれた」と思ったらしいんですよね。その姿を見て、「ビビッときた」ときたと。

 

私は私で、「団長は、私と一緒にいると、グラスを落とすほど緊張しているのかな?そうだとしたら、それだけ真剣に思っていてくれるのかな…?!」と考えて。不思議な話ですけど、グラスを落としたことがきっかけで、団長とこの先ちゃんと向き合ってみたいなって感じた出来事でもありました。

 

── ただ、芸人さんとお付き合いするとなると、少し迷いもあったとか。

 

安田さん:団長と2人で会う前は、正直不安もありましたよ。友達に相談すると、「連絡先を交換するなんて、みんなに言ってるかもしれないでしょ。“名古屋妻”みたいな感じになるかもしれないからやめたほうがいい」って言われましたし。

 

ただ、私が団長と初めてイベントで会ったとき。団長が私に電話番号を聞くときの姿を思い出すと、どうしても周りの人たちが言うような人には見えなかったんです。

 

それなら、自分の目で見たことを信じようと思いました。

 

その後も、団長は忙しくてもスケジュールの合間をぬって東京から名古屋まで会いに来てくれました。ときには、食事をするためだけに来てくれたこともあります。そうして徐々に信頼が積み重なって、2人で初めて会ってから2か月ほど経った頃正式におつき合いすることになりました。

彼が帰った後、部屋に携帯が置きっぱなしだったら

安田さち
「名古屋妻になる」と友人から心配されるもお付き合いがスタート。

── その後、お二人は結婚されました。安田さんの Twitterに、

 

『「浮気しない男なんていない。自分の相手だけは違うなんて思っていたらバカをみるよ」新婚で浮かれていた私に男友達は言った。芸人という職業もあってその後も似たようなアドバイスを何人かにされた。自分の傷を浅くするために一番近くにいる人を信じないのが『賢い』というのなら私はずっとバカでいい。』

 

とありました。こちらはおつき合いしている最中、または結婚してから何かあったのでしょうか?

 

安田さん:つき合いたての頃は、団長のことが好きすぎたんです。それで、つい浮気を疑って勝手に携帯を見ちゃったことが何度もあるんですよ。

 

── それは、どういったシチュエーションだったのでしょうか?

 

安田さん:団長が名古屋に遊びに来たとき。私の家に携帯を忘れていくことが多かったので、そのときに。

限りなくグレーでも

安田さち
携帯を見てしまいましたと振り返る安田さん

── 団長さんは、安田さんが携帯を見たことについて怒らなかったんですか?

 

安田さん:怒ることはなかったです。ただガッカリしているようではありました。「あ、見たんだ…」みたいな感じで。当時、団長に言われたのは「ずっと2人で仲良くやっていくためには、お互い意識的に仲良くする努力をしないとダメなんだ。さちが携帯を見る行為は、仲良くする努力を放棄していることになるんだよ」といったことを言われました。

 

携帯を見た自分が悪いと思いつつ、限りなく黒に近いグレーな内容もあった気もします。なんだかもっともらしい感じで言われたなとも(笑)。でも、そうは言ってもその言葉がすごく響いたのも確かです。自分で信頼を壊すようなことをしてはいけない。そう思いましたね。

 

── ご結婚されてしばらく経ちますが、現在はいかがですか?

 

安田さん:今は、団長の浮気もいちいち疑わないですね。そう思えたいちばんのきっかけは、子どもが生まれたことだと思います。

 

もちろん、私の気持ちも団長だけに集中していられなくなったのもあります。あと、それ以上に「子どもは夫婦の絆の形として生まれてきたもの」、という感覚があって、子どもが生まれた瞬間から自分が強くなれた気がしたんです。団長の携帯を見る行為は、自分に自信がなかったからしてしまっていたことなのかもしれません。

 

それに、この先ずっと一緒に生きていくことを考えたら、相手の浮気を疑って過ごすよりも、お互いに信頼し合っていたいですね。もしも浮気していたら、わかってしまったときに考えればいいかなと考えるようになりました。

 

結婚してたしかな信頼関係が築けた今は、たとえ机の上に団長の携帯が置きっぱなしになっていても見ることはありません。

 

PROFILE  安田さちさん

フリーアナウンサー。「安田大サーカス」団長安田の妻であり、2児のママ。タレントとして活躍していたものの結婚を機に家事、育児に専念。35歳でフリーアナウンサーとして活動を再開。
取材・文/間野由利子 撮影/坂脇卓也